クリーンエネルギーとは?再エネとの違いや種類・利用メリットを解説

2023.10.19
ESGSDGsカーボンニュートラル再生可能エネルギー

クリーンエネルギーは、持続可能で環境に優しいエネルギー源の一つです。
企業がクリーンエネルギーに興味を持ち、ESG(環境、社会、ガバナンス)の一環として取り組む際に知っておきたい重要な概念です。
この記事では、クリーンエネルギーの基本的な理解から、再生可能エネルギーや他の関連概念との違い、さらに種類や利用メリット、デメリット、国の取り組みについて詳しく解説します。

  カーボンニュートラルへ向けた、

企業が取るべき具体的アクションとは?

クリーンエネルギーとは?

クリーンエネルギーは、環境に対する負荷が少なく、化石燃料などの有害な排出物を発生させないエネルギーのことです。

クリーンエネルギーに明確な定義はないものの、一般的に認識されている概念を元に、クリーンエネルギーに近い概念との違いを解説していきます。

再生可能エネルギーとクリーンエネルギーの違い

再生可能エネルギーは、自然のプロセスによって繰り返し生成されるエネルギー源を指します。
太陽光、風力、水力、バイオマスエネルギーなどが再生可能エネルギーです。
これらのエネルギー源は枯渇しないため、持続可能な選択肢と言えます。

一方、クリーンエネルギーは、環境に対する負荷を最小限に抑え、温室効果ガスや汚染物質の排出が少ないエネルギーを指します。
再生可能エネルギーの中にはクリーンなものもありますが、全ての再生可能エネルギーがクリーンとは限りません。
例えば、バイオマスエネルギーは持続可能ではありますが、燃焼による排出物があるため、クリーンエネルギーとは区別されます。
再生可能エネルギーは持続可能な源から生成されるエネルギーであり、クリーンエネルギーは環境への負荷が少ないエネルギーを指します。
再生可能であり、かつクリーンなエネルギー源が理想的と言えるでしょう。

グリーンエネルギーとクリーンエネルギーの違い

グリーンエネルギーとクリーンエネルギーは、両方とも環境にやさしいエネルギー源のことを指しますが、微妙な違いがあります。

グリーンエネルギーは、再生可能エネルギーの一部で、自然のプロセスによって生成されるエネルギーを指します。
例えば、太陽光、風力、水力、バイオマスエネルギーが含まれます。
これらのエネルギー源は持続可能で、二酸化炭素の排出が少ないため、環境に優しいとされます。

一方、クリーンエネルギーは、環境への負荷が少なく、温室効果ガスや汚染物質の排出が限定されているエネルギーを指します。クリーンエネルギーには、原子力エネルギーや特定の再生可能エネルギー源(風力、太陽光など)が含まれます。
このため、すべてのクリーンエネルギーが再生可能ではないことに注意が必要です。

グリーンエネルギーは持続可能な再生可能エネルギーを指し、クリーンエネルギーは環境に対する負荷が少ないエネルギーを指しているという違いがあります。

新エネルギーとクリーンエネルギーの違い

新エネルギーとクリーンエネルギーは、環境への影響を軽減し、持続可能なエネルギー供給を追求する点では共通していますが、異なるものです。
新エネルギーは、従来の化石燃料に代わる新しいエネルギー源を指します。
これには再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、バイオマスなど)だけでなく、原子力なども含まれます。

一方、クリーンエネルギーは、環境に対する負荷が少なく、低排出量であるエネルギーを指します。

つまり、新エネルギーはエネルギーの種類を指し、クリーンエネルギーはその中でも環境にやさしい種類のエネルギーを示しています。

クリーンエネルギーの種類

クリーンエネルギーに明確な定義はないものの、一般的にクリーンエネルギーと呼ばれる発電方法には以下のようなものがあります。

ここからは、クリーンエネルギーの種類について解説していきます。

太陽光発電

太陽光発電は、太陽からの光を利用して電力を生成する環境に優しいエネルギー源であり、再生可能エネルギーの一つです。
太陽光パネルが太陽の光を受けて、光エネルギーを電気に変換する仕組みとなっています。
太陽光発電は、屋根や地上施設にパネルを設置し、太陽光を吸収することで電力を生産します。そのエネルギーは電力ネットワークに供給され、家庭や企業で利用可能です。
太陽光発電は、エネルギーの自給自足や余剰電力の売電など、さまざまな利点を提供し、持続可能なエネルギー未来に向けた一翼を担っています。

地熱発電

地熱発電は、地球内部の熱エネルギーを利用して電力を生成する方法です。
地下深くに存在する地熱エネルギーを採取し、蒸気や熱水を利用して発電タービンを回すことで電力を生み出す仕組みで、再生可能エネルギーの一種です。
地熱発電は、地熱ホットスポットで特に効果的であり、火山地帯や地熱活発な地域で導入されています。
地熱エネルギーは安定して発電でき、発電施設の稼働率が高く、さらに排出する二酸化炭素が少ないため、環境にも優しい方法として注目されています。
地熱発電は、持続可能なエネルギー供給の一環として、特に地熱資源が豊富な地域で注目されています。

風力発電

風力発電は、風の力を利用して電力を生成します。風力タービンが風を受けて回転し、その運動エネルギーを電力に変換します。風力発電は、風の豊富な地域において特に効果的で、風力発電所は風の強い場所に設置されます。
また、風力エネルギーは再生可能で持続可能な資源であるため、気候変動対策に貢献し、エネルギーの自給自足を促進します。
風力発電は、エネルギー供給の多様化とエネルギーの安定供給に向けた取り組みの一環として、世界中で広く採用されています。

水力発電

水力発電は、水の力を利用して電力を生成する再生可能エネルギーの一つです。
しかし、水力発電と言っても規模や使用されている技術が異なるため、それらに応じてクリーンエネルギーと見なされるかどうかが判断されます。
通常、大規模なダムを使用する水力発電は、生態系への影響や土地の大規模な変更が伴うため、クリーンエネルギーとは見なされず、環境への負荷が大きいとされています。

一方、中小規模の水力発電は、比較的小規模なダムや河川の水力を利用し、環境への影響が少ないため、クリーンエネルギーとされることが多いです。
これらの施設は地元コミュニティにも利益をもたらし、持続可能なエネルギー供給の一環として重要視されています。
水力発電のクリーンエネルギー性は、規模や実施方法に大きく依存する要素でと言えるでしょう。

バイオマス発電

バイオマス発電は、有機的な素材(植物、動物の廃棄物、木材など)から発電する再生可能エネルギーの形態です。これらのバイオマス素材は燃焼または発酵プロセスを通じて熱エネルギーを生成し、それを電力に変換します。

バイオマス発電は二酸化炭素の排出量を削減し、廃棄物の処理や農業の副産物の有効活用にも貢献します。
また、バイオマスは持続可能なエネルギー供給ができるため、エネルギーの多様化を促進します。
地域によってはバイオガス、バイオエタノール、バイオディーゼルなど、異なる形態で利用されており、クリーンエネルギーの一環として広く普及しています。

企業がクリーンエネルギーを利用するメリット

クリーンエネルギーを自社の電力として利用することは、企業にとってさまざまなメリットがあります。

ESG投資の評価対象になる

ESG(Environmental・Social・Governance)投資の評価対象になることがメリットの一つです。
ESG評価は、環境への配慮(Environmental)、社会的責任(Social)、統治(Governance)の側面を評価し、持続可能性を重視する投資戦略の一部です。
クリーンエネルギーの採用は、企業が環境への負荷を削減し、温室効果ガスの排出を減少させる手段であり、ESG評価で高得点を獲得する要因となります。
高いESG評価を受ける企業は、投資家からの支持を受けやすく、持続的な成長とリスク軽減が期待できます。
このため、クリーンエネルギーの採用は企業にとって財務的な利益だけでなく、ESG投資においても競争力を高める重要な要素と言えるでしょう。

エネルギーを自給自足できる

化石燃料に依存しないクリーンエネルギーを用いた自家発電は、燃料価格の変動に左右されず、安定的な電気料金を確保できます。エネルギーの自給自足は、運用コストを抑えることにもつながると言えるでしょう。
また、災害時には自家発電設備を活用して、独立した電力供給を確保できるため、事業継続性の向上にもつながります。
クリーンエネルギーを導入することで、企業は持続可能なエネルギー供給が実現され、リスク軽減とコスト削減が期待できます。

商品やサービスの差別化につながる

クリーンエネルギーの使用を積極的にPRすることで、環境に対する配慮や社会的責任を強調できます。さらに、クリーンエネルギーの利用はエコフレンドリーなイメージを築き、競争激化する市場においてブランド価値を向上させることにも役立ちます。

差別化された商品やサービスは、新たな顧客層を引き寄せ、市場での地位を強化することができるでしょう。
クリーンエネルギーの導入は、企業にとって戦略的なアドバンテージとなることが期待できます。

クリーンエネルギーのデメリット・課題

メリットも多いクリーンエネルギーですが、ほかの発電方法に比べてデメリットも多い点がネックであり、完全なクリーンエネルギーへの切り替えは難しいとされています。

デメリットと課題についても把握していきましょう。

発電量が安定しない

太陽光や風力発電などは天候や気象条件に依存するため、発電量が変動します。
これにより、需要とのミスマッチや電力供給の不安定性が生じる可能性があります。
また、夜間や風の弱い日には発電が低下するため、バックアッププランやエネルギーストレージの必要性もあげられます。
エネルギーストレージ技術やグリッドの改善は重要課題であり、持続可能なクリーンエネルギーの普及に向けた課題としての克服が求められています。

エネルギー密度が低く電力量が生み出しにくい

エネルギー密度が低く、電力量を大量に生み出しにくいこともデメリットとしてあげられます。
例えば、太陽光発電や風力発電は、自然の条件に左右され、単位面積あたりの発電量が限られています。
そのため、大規模な発電所や膨大な施設が必要で、エネルギー供給を確保するには広大な敷地や高額な投資が必要です。
これに対抗するため、効率的なエネルギー変換技術やエネルギー貯蔵システムの開発が進行中で、エネルギー密度の向上が求められています。

発電コストが高い

クリーンエネルギーのデメリットの一つは、発電コストの高さです。
太陽光、風力、地熱などを利用するためには、設備の建設や保守、技術の開発などのコストがかかります。
これにより、初期投資が高いという課題が生じ、従来の化石燃料に比べて発電コストが上昇することがあります。
ただし、技術の進歩や大規模導入に伴い、コストは低下の傾向にあり、中長期的にはコスト効率が向上することが期待されています。
クリーンエネルギーの利用は環境への負荷が低く、エネルギーの持続可能性を高めるため、コスト面の課題はありますが、多くの国や企業がクリーンエネルギーへの移行を推進している現状もあります。

クリーンエネルギーを普及させるための国の取り組み

クリーンエネルギーを普及させるために、国は取り組みを進めています。
クリーンエネルギー導入を推進するための、国の制度について解説していきます。

FIP制度(Fossil Fuel Infrastructure Phase-Out Program)

FIP制度(Feed-in-Premium制度)は、再生可能エネルギー発電設備の普及を促進するために政府が行う取り組みの一つです。
この制度では、再生可能エネルギー発電事業者に対して、固定された価格で電力を買い取る契約を結びます。これにより、再生可能エネルギーを導入しやすくすることが狙いです。
FIP制度は、クリーンエネルギーの普及とエネルギーの環境への負荷を軽減するために、多くの国で導入されており、再生可能エネルギーの導入を進める上で重要な制度と言えるでしょう。

クリーンエネルギー戦略

クリーンエネルギー戦略は、国や地域が持続可能なエネルギー源の利用を促進し、クリーンエネルギーの普及を図るための包括的な計画や政策のことを指します。
この戦略は、温室効果ガスの削減、エネルギーセキュリティの向上、新たな産業の育成など多くの利点があげられます。

クリーンエネルギー戦略は、再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力など)の開発、エネルギー効率の向上、排出削減目標の設定など、さまざまな要素を含み、政府、産業界、研究機関、市民社会が連携して策定し、実行されます。
これにより、クリーンエネルギーのシェアが増え、環境への負荷が軽減され、エネルギーの持続可能性を向上させることが期待されています。

カーボンプライシング

カーボンプライシングは、クリーンエネルギーの普及を促進し、温室効果ガスの排出を抑制するための国における取り組みの一環です。具体的には、排出量取引制度と炭素賦課金制度の導入が重要な要素とされています。

・排出量取引制度(2026年ごろ開始予定)

企業や産業部門に一定の排出枠を割り当て、それを超過する場合は排出権を購入しなければならない制度です。排出権市場を通じて排出枠を売買し、効率的な排出削減を促進します。

・炭素賦課金制度(2028年ごろ開始予定)

企業や個人に炭素税を課す仕組みで、エネルギーの使用や生産に伴う二酸化炭素排出に課金されます。炭素税の導入は、クリーンエネルギーへの転換を奨励し、環境への負荷減らします。

これらの取り組みは、排出削減へのインセンティブを提供することで、クリーンエネルギーの競争力を高め、環境への負荷を軽減するために国際的に採用されています。

まとめ

年々、環境問題へ対する関心は高まっており、企業としても環境問題へ取り組むことが重要視されていきています。
より環境への負担を減らすことができるクリーンエネルギーは、これからより注目を集めていくでしょう。制度を利用することなどで、課題解決できるケースもあります。

クリーンエネルギーについてよく理解したうえで、導入を検討してみましょう。

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参考資料

SDGsCOMPASS クリーンエネルギーとは?種類ごとの特徴、現状の課題と政府の取り組みを紹介

資源エネルギー庁  脱炭素に向けて各国が取り組む「カーボンプライシング」とは?

関西電力 新エネルギーについて