企業が取り組むべき気候変動対策とは|国内企業・海外企業の事例21選
気候変動は現在、私たちが直面している最も深刻な環境課題の一つです。
その影響はますます顕著になり、企業にも大きな影響を与えています。そのため、企業が積極的に気候変動対策に取り組むことが求められています。
本記事では、気候変動対策とは何か、国内・海外における具体的な事例21選を紹介していきます。
気候変動対策を検討したい企業の担当者の方は、ぜひ参考にして見てください。
カーボンニュートラルへ向けた、
企業が取るべき具体的アクションとは?
気候変動とは
気候変動とは、地球上の気候パターンや気候要素(気温、降水量、風など)が数十年以上の長期間にわたって変化する現象です。
これは自然変動や人間の活動による影響など、さまざまな要因によって引き起こされます。
近年では、人為的な温室効果ガスの排出による温暖化が主な原因として注目されています。
気候変動は、平均気温の上昇、激しい雨の頻発など極端な気候事象や海面上昇などの影響をもたらし、生態系や農業、水資源などへの影響が懸念されています。
気候変動対策とは
気候変動に対する対策についても、詳しくご紹介していきます。
「緩和」と「適応」が重要
気候変動対策には、緩和策と適応策の両方が重要です。
緩和策は、温室効果ガスの削減や再生可能エネルギーの利用など、気候変動の原因を減少させる取り組みです。
一方、適応策は、気候変動による影響に対処するための措置であり、耐久性のあるインフラ整備や災害リスク管理などが含まれます。
緩和策と適応策を両方に取り組むことで、温室効果ガスの削減と社会の脆弱性低減を両立し、持続可能な未来の構築に寄与します。
企業の気候変動対策
企業の気候変動対策は重要であり、温室効果ガスの削減やエネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの導入などを通じて緩和策に取り組む必要があります。
また、リスク評価や事業の脆弱性分析を行い、物流の見直し、働き方改革などなどの適応策を実施することも重要です。
企業は持続可能なビジネスモデルの構築や社会的責任の果たし方を考え、気候変動への積極的な対応を行うことが求められます。
企業の気候変動対策が重要な理由
企業の経済活動は二酸化炭素排出の主な原因であり、気候変動に大きな影響を与えています。
また、エシカル消費の概念が広まり、消費者は環境への負荷を考慮した企業を支持する傾向にあります。
気候変動に対する積極的な対策は、企業のイメージ向上や競争力の確保につながります。
さらに、気候変動対策は持続可能な社会の実現に向けた責任としても重要であり、企業は積極的な取り組みを行うべきです。
国内企業による気候変動対策の事例16選
国内企業において、実際に行われている気候変動対策について、事例をご紹介していきます。
日本マクドナルド
日本マクドナルドは、食品ロスの削減や環境保護に積極的に取り組んでいます。
ハッピーセットのおもちゃが不要になった場合、店舗に返却することができます。これにより、廃棄物の削減と再利用を促進しています。
また、森林保全対策や海洋プラスチック問題にも取り組んでいます。
包装材料にはサステナブルな素材を使用し、森林の保全に配慮しています。
住友化学
住友化学は、2030年までに自社の温室効果ガス(GHG)排出量を50%削減、2050年までにネットゼロを目指しています。
カーボンニュートラルに貢献する製品やソリューションの提供をすることで、顧客の持続可能なビジネス活動を支援しています。
また、住友化学は技術開発にも力を入れており、エネルギー効率の向上や二酸化炭素の吸収・利用技術の開発に取り組み、環境への負荷を軽減するための新たな解決策を提供しています。
佐川急便
佐川急便は、気候変動対策を重視し、持続可能な環境への貢献に力を入れています。
現在、保有する約2万6千台の車両のうち約15,000台(2022年3月末時点)が環境対応車となっており、その中には電気自動車などが含まれています。
さらに、佐川急便は車両の効率的な運行管理やエネルギーの有効活用にも取り組んでおり、環境への負荷を最小限に抑えながら、高品質な物流サービスを提供しています。
ダイキン工業
ダイキン工業は、低温暖化冷媒や省エネ技術の普及に力を入れ、開発・生産・輸送時の温室効果ガス排出削減を実現しています。
地球環境保護への取り組みとして、積極的に持続可能な技術を推進し、低温暖化冷媒の採用や省エネ技術の導入により、エネルギー効率を向上させています。
さらに、製品のライフサイクル全体にわたる環境負荷の評価と輸送体制の最適化により、温室効果ガスの排出量を削減しています。
ANA
ANAは、航空機の運航におけるCO₂排出量を2050年度までに実質ゼロへと削減することを目指しています。
この目標達成のために、エンジンの水洗いや飛行機の総重量軽量化などの取り組みを行っています。
さらに、資源の有効活用にも注力し、2050年度までに資源類の廃棄率をゼロにすることを目指しています。
持続可能な航空業界の実現を目指すANAは、環境に配慮した革新的な技術や取り組みを推進し、地球環境への負荷を最小限に抑えながら、安全で快適な旅を提供しています。
参考:ANA/航空会社のSDGsへの取り組み|世界環境デー ~ANAの環境問題への取り組み~|ANA
富士通
富士通は、「FUJITSU Climate and Energy Vision」という環境ビジョンを策定し、持続可能な未来の実現に向けた取り組みを行っています。
製造プロセスの見直しによる効率化を推進し、エネルギー消費の削減を図っています。
また、原動施設を中心とした設備の省エネ対策なども実施しています。
参考:環境活動|富士通
オリックス
オリックスは、CO2排出量の削減に向けて2030年までに50%の削減、2050年までには実質的にゼロを目指しています。
この目標達成のため、再生可能エネルギー事業を積極的に推進しています。
オリックスは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの開発・導入に力を入れ、環境に優しいエネルギーの利用を促進しています。
さらに、省エネルギー技術の採用やクリーンな運転管理などの取り組みも行っています。
リクルート
リクルートは、2030年度までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラルを達成することを目指しています。
この目標達成のため、ペーパーレス化やリモートワークの推進などの取り組みを進めています。
特に、リクルートのフリーマガジンでは、可能な限り薄い紙を使用することや配送トラックの削減など、環境負荷を低くするための工夫を行っています。
キユーピー
キユーピーは、原料調達から消費までのバリューチェーン全体でCO2排出量の削減を目指しています。
2022年度の実績では、CO2排出量削減率は26.1%に達しました。
他にも、省エネルギーな製造プロセスや再生可能エネルギーの活用、物流の効率化に加え、削減効果の高いパッケージングや包装の見直し、エネルギー効率の高い製品開発なども行っています。
旭化成
旭化成は、2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目標としており、自社事業活動におけるCO2排出量の削減に取り組んでいます。
また、省エネルギー技術の導入や製造プロセスの見直し、再生可能エネルギーの利用などを通じて、持続可能なビジネスモデルを実現しています。
旭化成は自社の事業や技術を通じて、社会全体のCO2排出量削減に貢献することを目指しています。
大和ハウス工業
大和ハウス工業は、世界で唯一の住宅・建設業界の企業として、SBT(Science Based Targets)、EP100、RE100という3つの国際イニシアティブへの同時参画を果たしました。
これにより、持続可能な未来を築くための取り組みを一層強化しています。
また、大和ハウス工業は再生可能エネルギーにも注力しており、2030年までに約60%の再生可能エネルギー発電量の割合を100%まで向上させる目標を掲げています。
積水ハウス
積水ハウスは、気候変動対策に積極的に取り組んでいます。
2030年までに事業活動におけるCO2排出量の削減目標を、従来の50%から75%に上方修正しました。
この目標達成のため、2030年までに全ての業務用車両を電動化するなど、車両のエコ化に力を入れています。
さらに、省エネルギー技術の導入や再生可能エネルギーの活用、建築物のエネルギー効率向上なども推進しています。
参考:ニュースリリース|企業・IR・ESG・採用|積水ハウス
ダスキン
ダスキンは、気候変動対策の一環として、低排出ガス認定自動車の導入を積極的に促進しています。
環境に配慮した運送業務を推進するため、燃費効率の高い車両や電気自動車などの低排出ガス車を積極的に導入し、二酸化炭素や窒素酸化物などの排出削減に取り組んでいます。
リコー
リコーは、2050年までにCO2排出量削減87.5%という高い目標を掲げ、エネルギー効率の向上や再生可能エネルギーの活用に取り組んでいます。
また、冷却システムとして省エネ効果の高いチルドタワーを導入し、冷水設備の効率化を図るなど、技術革新と環境配慮を組み合わせ、持続可能なビジネスモデルの実現に取り組んでいます。
参考:SDGsへの取り組み|リコーインダストリアルソリューションズ株式会社
パナソニック
パナソニックは、持続可能な未来を築くため、CO2ゼロの工場づくりや省エネ製品の開発に注力しています。
工場のエネルギー効率を最大化し、再生可能エネルギーの活用を推進することで、CO2排出量を劇的に削減する取り組みを行っています。
参考:SDGsへの取り組み – サステナビリティ|パナソニック ホールディングス
味の素
味の素は、2030年度までにCO2排出量を50%削減することを目標に掲げています。
そのために、サトウキビの搾りかすやもみ殻などの副産物を燃料としたエネルギーの利用を積極的に推進しています。
これにより、廃棄物を有効活用し、再生可能エネルギーの利用を促進することで環境負荷を軽減しています。
参考:プレスリリース|味の素
海外企業による気候変動対策5選
海外の企業においても、気候変動対策を実施しています。
いくつかの企業における、具体例をご紹介していきます。
マイクロソフト
カーボンネガティブとは、企業や組織が自らの活動によって排出した二酸化炭素(CO2)を大幅に削減し、さらにそれ以上のCO2を吸収・固定して炭素バランスを負の方向に導くことを意味します。
マイクロソフトは、2030年までにカーボンネガティブを実現し、2050年までに自社の歴史全体を通じて排出したCO2を吸収・抑制するという目標を掲げています。
参考:2030 年までにカーボンネガティブを実現|News Center Japan
Amazon
Amazonは、2040年までにCO2排出量の実質ゼロを目指す取り組みを進めています。
このために、15の実用規模の再生可能エネルギープロジェクトの立ち上げや、森林再生に1億ドルの投資を行っています。
また、クリーンエネルギーの利用やカーボンオフセットに積極的に取り組んでおり、自社の事業活動における持続可能性を追求するだけでなく、他の企業や組織と連携して環境保護に取り組むことも重視しています。
参考:The Climate Pledge(気候変動対策に関する誓約) – About Amazon| Japan
Netflix
Netflixは、2030年までにCO2排出量を46%削減するという目標を掲げています。
また、大気中から二酸化炭素を吸収する働きのある資源を保全するプロジェクトに積極的に投資し、自然生態系の再生にも取り組んでいます。
さらに自社の影響力を活かして、環境問題に取り組む他の企業や組織との連携も進めています。
参考:ネットゼロ + 自然: 気候変動に対するNetflixの取り組み|Netflix
カルティエ
カルティエは、「CEO Carbon Neutral Challenge」に参加し、CEOがリーダーシップを発揮しています。2021年には再生可能エネルギーの年間調達量が100%を達成し、さらに2030年まで継続することを約束しています。
カルティエは環境への貢献を重視し、持続可能なビジネスモデルの構築に取り組んでいます。
参考:カルティエ、危機的な地球環境に対応するため「CEO Carbon Neutral Challenge」に参加を表明|カルティエのプレスリリース
デルタ航空
デルタ航空は、環境への取り組みにおいて先駆的な存在です。
2020年、航空業界で初めてカーボンニュートラルを宣言しました。
さらに、2030年までの10年間に1億ドルもの資金を投じることを目標としています。この資金は、持続可能な航空燃料の開発や排出削減技術の研究に活用されます。
参考:A ‘business imperative’: Delta outlines roadmap to more sustainable travel|DELTA NEWS HUB
まとめ
深刻な環境課題の一つである気候変動について、企業がどのような取り組みを行っているのか、実際の事例についてご紹介していきました。
企業が気候変動対策に取り組むことは、環境保全の面からも企業の価値を高めるためにも重要と言えるでしょう。
まだ対策を行っていない企業の担当者の方は、この機会に実施を検討してみてはいかがでしょうか。
ホールエナジーは、気候変動対策を行う上で重要な、再エネ導入やカーボンニュートラル実現のサポートを得意としています。
気候変動対策に取り組みたいという企業の方は、お気軽にお問い合わせください。
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カーボンニュートラルへ向けた、
企業が取るべき具体的アクションとは?
参考記事
環境省 気候変動対策
相模原市 SDGs one by one 13.気候変動に具体的な対策を