企業が電気代を削減できる方法とは?電気代が高騰する要因や削減方法10選を解説

2023.06.20
SDGsコスト削減電力卸売市場電力業界制度

国内外の様々な要因によって電気代の値上げが続いています。経済活動を行う事業者にとってはコスト増となる深刻な問題です。
電気代の削減には、空調・照明・電化製品の利用方法を見直したり、電気の契約プランを変更したり、自家発電を導入するなどが挙げられます。

本記事では、企業の総務や工場の設備担当者へ向けて、電気代を削減する方法10選を解説します。自社の電気利用を見直し、経費削減するためにお役立てください。

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企業における電気代の仕組み

オフィスや工場など法人契約の電気代は、基本料金・電力量料金・再生可能エネルギー発電促進賦課金(ふかきん/以下、再エネ賦課金)の合計から算出されます。
基本料金は電力会社により異なります。
電力量料金は1ヶ月の使用電力量と燃料費調整額の合計です。
再エネ賦課金はクリーンエネルギー推進のための税金となります。

企業の電気代が高騰する要因

電気の使い方を変えていないのに電気代が上がってしまうのは何故なのでしょうか。
その要因を解説します。

発電燃料の価格高騰

2023年4月に経済産業省が公表した「2021年度の総合エネルギー統計」によると、国内電源の72.8%が火力発電でした。
液化天然ガス(LNG)や石炭・石油などの化石燃料を輸入に頼っている日本は、価格高騰の影響をダイレクトに受けます。

2023年6月現在、コロナ禍が収束し世界経済が回復したことによるエネルギー調達の活発化に加え、
ウクライナ危機を発端としたEUのロシア産液化天然ガス輸入禁止により化石燃料の価格が高騰しています。

出所:経済産業省資源エネルギー庁2021年度総合エネルギー統計時系列表(令和5年4月21日公表)

天然ガス価格推移
天然ガス価格推移

出典:一般社団法人エネルギ―情報センター「天然ガス価格の推移」

石炭価格の推移
石炭価格(オーストラリア価格)の推移

出典:一般社団法人エネルギ―情報センター「石炭価格の推移」

日本国内の電力不足

2011年の福島第一原発の事故後、ほとんどの原発は停止しています。事故前の2010年に比べて2020年の原発による電力供給量は86%も減少しています。
また、2016年の電力自由化により電気料金の競争が激しくなったことで、老朽化し採算性の悪い火力発電所の休廃止が進みました。これにより国内電力の供給量が減り、電力不足がおこなっています。

2022年7月、大手電力会社からの電力需給ひっ迫警報を受け、政府は7年ぶりとなる節電要請を行う事態となりました。

再エネ賦課金の価格上昇

クリーンエネルギー推進のための税金である再エネ賦課金は、経済産業省が毎年単価を決めています。再エネ普及を助ける固定価格買取制度(自然エネルギーで発電した電力を電力会社が買い取る際に、買い取り費用を電気利用者が支払う制度)に使用されているため、2012年の開始時から制度が終了する2030年まで上昇が続くと見込まれています。
なお再エネ賦課金は、企業のみならず一般家庭にも課せられています。

企業でできる電気代の削減方法10選

電気代を削減するために有効な取り組みをご紹介します。
手軽に始められることから設備投資が必要なものまで削減方法は多数あります。

空調設備の使い方を見直す

冷房・暖房など通年利用する空調設備は、フィルターや室外機が汚れていると空気の流れが悪くなり、稼働効率が落ちて電気使用量が増えてしまいます。
設定温度は夏場28℃、冬場20℃程度にしましょう。
1℃最適化すると約10%の節電効果が期待できます。人の手で今日からできる最も手軽な方法です。

空調設備を新調・交換する

多くのメーカーではエアコンなど空調設備の標準使用期間を10年としています。
10年を目安にエネルギー効率の良い最新式の空調設備に取り換えることで、消費電力を抑えられます。近年はIoT化が進み、人口密度に合わせて空調を調整するエアコンも登場しています。
導入費用は掛かりますが、中長期的に見てメリットのある削減方法です。

照明設備をLED化する

日当たりが悪い、もしくは直射日光が眩しいのでブラインドを閉めているといったオフィスや工場では日中も照明が必要です。
その場合は、長寿命で発光効率に優れたLED電球に変えるのがおすすめです。
電気代が蛍光灯の1/2、白熱電球の1/6に節約できます。LED電球は手軽に買えるもの魅力です。

 OA機器はスリープモードにする

 パソコンやプリンターなどのOA機器は、起動とシャットダウン時に最も電力を使うので、1日に何度も使う場合は「スリープモード」にしましょう。
常時電源ONだった場合に比べ、約90%の節電になります。スリープモードは電源が入ったままなので、電力を抑えられるのに再起動が容易な点も優秀です。

電化製品の電源を確認する

冷蔵庫や電子レンジなどの電化製品は、不使用時コンセントを抜きましょう。
もしくはスイッチ付き電源タップに切り替えて、不要な場合はオフにしましょう。
意外と知られていませんが、待機電力は全体の消費電力の約6%を占めています。お盆や年末年始など数日間休業する場合に最適な方法です。

従業員の残業や休日出勤を見直す

一人でも残業をしたり休日出勤をしたりすれば、電気や空調、オフィス内の電子機器を使うことになります。残業を許可制にする、ノー残業デーを設けるなどして、残業や休日出勤を抑制することは節電につながります。
また、従業員のワーク・ライフ・バランスと業務効率化を見直せる方法でもあります。

自家発電や蓄電池を導入する

オフィスや工場に自家発電装置を設置し、発電した電力を自社で使用することも有効な方法です。
太陽光発電などの再エネ関連には補助金や税制優遇もあるので、導入時の初期費用を抑えられます。
また、自家発電で余った電力は電気会社に売ることもできます。
蓄電池を合わせて導入すれば、非常時にも電力を利用できるので災害対策にもなります。

PPAを導入する

太陽光発電の導入を検討する事業者には、初期費用と維持費がかからないPPAがおすすめです。
PPA事業者と契約すると、太陽光発電設備を無償で自社に設置してくれます。
そこで発電された電力をPPA事業者経由で購入します。
この電力は一般の電気料金よりも割安な場合が多く、再エネ賦課金がかからないため電気代の節約なります。

デマンド値を見直す

デマンド値とは、30分間電力を使用した際の平均値です。過去1年間で最も高いデマンド値が基準となり基本料金が決定します。
1年の内30分だけ電力を使いすぎた月があった場合、その電力量で年間の電気代が決まってしまう仕組みなのです。短時間で極端に電力を消費することがないか確認しましょう。

 電力会社や料金プランを見直す

2016年から始まった電力自由化により、消費者が電力をどこから買うか選べる様になりました。
これにより、自社に合った料金プランを大手電力会社だけではなく、新規参入の電力会社も交えて比較検討できるようになりました。
ガス会社や通信事業者、運輸業や商社など様々な事業者が新規参入していますので、自社の電気代を根本的に見直したい時に有効な方法です。

企業で電気代を削減する際のポイント

ここまで様々な節約方法をご紹介しましたが、最後に取り組む際に気をつけて頂きたいポイントを解説します。

節電による体調不良や効率低下に注意する

節電を重視するあまり、空調(エアコン)や照明の使用を制限しすぎないようにしましょう。
酷暑の中で冷房を使わなければ熱中症の危険がありますし、暗い部屋で長時間パソコン作業をすると視力低下を引き起こします。
従業員の健康と快適に業務遂行できる環境を最優先に考えつつ、節電していくことが望ましいです。

専門家のサポートを検討する

一般家庭と違い、法人契約の電力会社の変更は複雑な手続きがあります。
また、電力自由化に便乗した詐欺も発生していますので注意しましょう。
多数ある節電方法を組み合わせて、自社に最適な節電プランを考えるには、業界に精通した専門家へアドバイスを求めたり、比較検討のサポートを依頼したりという方法もあります。

まとめ

今後も値上げが予想される電気代は、利益を圧迫する事業コストです。様々な削減方法がありますので、自社で取り入れやすいものから挑戦してみてはいかがでしょうか。

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