高圧電力の基本料金は?企業コスト削減のコツを契約電圧の違いから解説

2023.04.19
コスト削減電力卸売市場電力業界制度
高圧電力

電気料金は、電気会社と契約する電力プランによって決定します。
中でも法人向けの電気代については、2023年4月に値上げが予定されているため、コスト削減のためには対応が急務と言えるでしょう。

本記事では、自社のコスト削減を担当する方へ向けて、高圧電力について解説していきます。

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高圧電力とは

中小規模の施設が高圧電力の対象で、商業施設や工場、病院といった施設に多く見られます。
具体的には、電圧が直流で750V超~7,000V以下、交流で600V超~7,000V以下、契約電力は50kW以上2,000kW未満が高圧電力の対象です。

参照:電気設備に関する技術基準を定める省令 | e-Gov法令検索
なお、以下の項目についても上記の省令を参考に解説していきます。

低圧電力とは

一般家庭で主に利用されており、事務所や小規模な飲食店や店舗が対象となります。
具体的には、電圧が直流で750V以下、交流で600V以下、契約電力は50kW未満が低圧電力の対象です。

特別高圧(特高)とは

大量の電力を使用する事業者が対象で、大規模な工場や病院、ビル、商業施設、鉄道事業者などが契約しています。
具体的には、電圧が直流・交流ともに7,000V超、契約電力は2,000kW以上、標準電圧は20,000V以上が特別高圧の対象です。
変電所から直接送電線を引き込むケースが多かったり、安全のために厳しい規制が設けられていたりします。

低圧電力、高圧電力、特別高圧の特徴
低圧電力、高圧電力、特別高圧の特徴

【参考】電圧とは

電圧とは電気を送るために必要な力のことで、単位はV(ボルト)で表されます。
発電された電気は変電所で適切な電圧に変えられ、それぞれの家庭や施設に送電される仕組みとなっており、電圧が高いほど多くの電気が流れる仕組みです。

高圧電力・低圧電力・特別高圧の違い

ここからは、高圧電力・低圧電力・特別高圧のそれぞれの違いについて詳しく見ていきましょう。

 契約電力の違い

契約電力とは、毎月使用できる最大電力のことです。
3つの区分に分かれており、50kW未満は低圧電力、50~2,000kW未満は高圧電力、2,000kW以上は特別高圧電力となります。どれくらいの電力を使用するかによって、利用する区分が異なってきます。なお、契約電力が上がるにつれて、電気料金は安くなる仕組みです。

コストの違い

電力プランによって、1kWあたりの電気料金が異なります。プランは、電圧と電力の組み合わせで決まる仕組みとなっており、電圧が高くなるほど単価が安くなるのが特徴です。
高圧電力や特別電圧の場合、料金だけで見ると安くなりますが、設備の設置費用や維持費が必要となってきます。
長期的に見た場合、高圧電力の方が、コストを削減できると言えるでしょう。

供給方法の違い

そもそも、電気は発電所から変電所を経て供給される仕組みとなっており、低圧電力と高圧電力では各施設に供給される方法が異なります。
低圧電力の場合、柱上変圧器(トランス)を利用して変圧し、供給されます。
一方、高圧電力はキュービクル式高圧受電設備(キュービクル)で受電し変圧された後に供給するという流れです。
なお、特別高圧の場合は送電線を引き込む電柱、送電線とキュービクルが必要となり、必要な設備が多くなります。

利用条件の違い

電気事業法により、キュービクルの設置には電気主任技術者の選任が必要となり、選任できない場合は外部委託承認制度を利用する形を取ります。
また、特別高圧の場合は従業員も講習を受けなければならず、労働安全衛生規則の元、使用しなくてはなりません。

現在の契約電力の確認方法

現在契約している電力を確認する方法は、主に3つあります。

1つ目は、キュービクルの有無です。キュービクルは屋外や屋上に設置されているケースが多く、設置されていれば高圧、いなければ低圧となります。
2つ目は、請求書の契約種別を確認する方法です。高圧の場合は「高圧」との記載があります。
3つ目は、請求書における供給電圧の数値を確認する方法です。供給電力が100~200Vの場合は低圧電力、6kV以上の場合は高圧電力となります。

高圧電力のメリット

高圧電力にする最大のメリットは、電気料金を削減できることです。
2023年4月現在、低圧との差は1kWあたり13円程度あります。初期費用や維持費はかかりますが電気単価は安いため、長期的に見た際はコスト削減に繋がります。電気設備における法定点検の義務がありますが、停電のタイミングは自由に決めることが可能です。

高圧電力の契約電力の決め方

実量制で、直近12ヵ月間における使用電力の最大値であるデマンドによって、自動的に決まります。
デマンド値とは、特定の30分間における消費電力の平均値のことです。
直近12ヵ月間で最も数値が高かったものが契約電力の最大値となり、電気料金に反映されます。
そのため、デマンド値が突出して高い月がないよう、注意が必要です。

高圧電力の電気代を削減するポイント

高圧電力の電気代はどのように削減したらいいのでしょうか。
具体的な方法を紹介していきます。

プランの見直し

電気料金は、単価・契約電力・力率によって決められています。
電圧を見直すことで単価も変わるので、適切な電圧であるか確認しましょう。
それを踏まえて。プランを見直すことも重要です。設備の設置が必要なケースもあるため、長期的な目線でプランを検討しましょう。

電気会社の見直し

現在利用している電気会社で。料金が抑えられない場合は電気会社の見直しも選択肢の一つです。電力業界には多くの企業が参入しており、会社ごとに多様なプランも設けられています。
コスト面だけでなくサービス面も踏まえ、自社の課題にあったサービスを探すことが推すスマです。

電圧を変更する際の注意点

電圧の変更を検討する際、料金だけで判断しないようにしましょう。設備の導入が必要となるケースもあり、コスト面や管理面での考慮も必要です。
なお設備を導入した際は、必ずメンテナンスを怠らないようにしましょう。

手続きや工事のポイント

料金面では、電力会社とプランを検討し、見積もりを依頼した上で比較します。
また、施設の所在地が供給エリアに含まれているのか、確認も必要です。
その上で、信頼できる電力会社を選びましょう。
なお、キュービクルを設置や保安規定の制定、電気技術主任者の選定など、設備の設置と管理における手続きも忘れずに行います。

まとめ

2023年4月から法人向けの電気代の値上げが予定されており、コスト削減に向けて企業は対応を行うべきだと言えるでしょう。
電圧・契約電圧によって、高圧電力、低圧電力、特別高圧に区分されており、それぞれ対象となる対象の施設、電気料金も異なっていました。
特徴について理解した上で、利用する電力会社やプランを見直すことがコスト削減につながります。

弊社ホールエナジーは、電力コスト削減と再エネ導入コンサルティング特化したコンサルティング会社です。
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エネチェンジ 高圧電力とは?低圧電力との違いも解説
リミックスでんき 低圧電力・高圧電力それぞれの違いは?特徴や使い分けについて