SDGs目標7とは?クリーンエネルギーに関する企業の取り組み事例をご紹介
近頃、見聞きする機会が増えたSDGs。その目標の中でもNo7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」については、自治体や企業でも取り組みが広がっています。
本記事では、SDGs目標7のポイントや現状、具体的な取り組み方法、日本企業における事例を分かりやすく解説します。SDGs目標7に取り組みたい企業様はぜひお役立てください。
カーボンニュートラルへ向けた、
企業が取るべき具体的アクションとは?
SDGsとは
持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)とは、2015年の国連サミットで採択された、2030年までに達成すべき国際社会の共通目標です。
17のゴールと169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない」ことを理念としています。
SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」のポイント
電気やガスといったエネルギーは生活必需品ですが、世界ではエネルギーを使うことのできない人も多くいます。また、石油や石炭といった化石燃料はCO2排出量が多く環境負荷が大きいです。
そこでSDGs目標7は、「世界中全ての人が安価かつ信頼できる持続可能で近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」ことを掲げています。
SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」のターゲット
SDGsでは目標を達成するために必要な行動をターゲットと定め、具体的な行動指針を示しています。2030年までに達成させたい目標7のターゲットは以下の5つです。
- 安価かつ信頼できる現代的エネルギーサービスへの普遍的アクセスを確保する。
- 世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させる。
- 世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させる。
- 再生可能エネルギー、エネルギー効率及び先進的かつ環境負荷の低い化石燃料技術などのクリーンエネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。
- 各々の支援プログラムに沿って開発途上国、特に後発開発途上国及び小島嶼開発途上国、内陸開発途上国の全ての人々に現代的で持続可能なエネルギーサービスを供給できるよう、インフラ拡大と技術向上を行う。
エネルギーにはさまざまな種類がある
エネルギーは2種類に分類されます。石油や石炭、原子力、水力、地熱など加工されていない状態で供給される「一次エネルギー」と、一次エネルギーを転換・加工して供給する「二次エネルギー」です。
私達が生活で使う電気やガス・ガソリンは二次エネルギーとなります。
石油や石炭などの化石燃料は資源の量に限りがあり、燃焼により大量のCO2を排出するため、太陽光・風力・水力・地熱といった自然の力を活用しCO2を排出しないクリーンな再生可能エネルギー(以下、再エネ)の使用が増えています。
SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」の現状・課題
世界のエネルギー事情と今後の課題を見ていきましょう。
電力を利用できない人は7億人以上
国連のSDGs2022報告書では、電力を利用できない人は発展途上国を中心に世界で7億3,300万人(2020年時点)となっています。
エネルギーの貧困地域では薪や石炭の他、動物の排せつ物を調理や暖房に使っています。CO2排出で環境や人体に悪影響があるだけでなく、燃料集めのため教育や労働の機会が奪われ、貧困を助長しています。
課題はクリーンエネルギーの利用率、エネルギー効率に
国連のSDGs2022報告書では、最終エネルギー消費に占める再エネの割合は17.7%(2019年)となっています。エネルギーの効率改善率の目標は3.2%ですが、実際には1.9%しか達成できていません。クリーンエネルギーの利用率とエネルギー効率の改善が求められています。
日本で再生可能エネルギーの利用が進みにくいのはなぜか
経済産業省が発表した令和3年度(2021年度)の再エネ比率[A1] は、20.3%でした。2011年の10.4%から約倍増でしていますが、まだまだ低い割合です。日本で再エネ普及が進まないのは、①電力供給の制約②発電に広大な土地が必要なため③天候により発電量が左右され供給が不安定という3つの理由からと言われています。
出所: [A1]令和3年(2021年度)エネルギー需給実績(速報)令和4年11月22日公表。5ページの参考4→電源構成と最終電力消費の表→再エネ発電比率2021
SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」への取り組み方法
クリーンエネルギーの普及を進めるにはどうしたら良いのでしょうか。
再生可能エネルギーの利用促進
日本政府は政策や技術革新により発電コストの減少、および従来の大規模電源の系統制約問題の解決に力を注ぎ、再エネ比率を高めていく方針を打ち出しています。
すでに再エネを利用する企業も増えているため、こうした企業と契約することで供給を促進することができます。
エネルギー使用量の低減
オフィスや工場の環境、業務フローを見直してエネルギーの使用量を見直しましょう。エネルギー消費を抑えることはCO2排出量を減らすだけでなくコスト削減にも繋がります。
エベレーターの使用を減らし階段を使う、OA機器の省エネモードを活用する、エアコンの設定温度を明記する、不在時のこまめな消灯など小さいことから始めてみましょう。
SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」に関する企業の取り組み事例(大企業)
環境に配慮した経営は国際的なトレンドとなっています。大企業ではどのような取り組みを行なっているのでしょうか。
積水ハウス株式会社
住宅メーカーの積水ハウスでは、省エネ性能を高めると共に発電設備を備えたネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH /ゼッチ)の普及を進めています。ZEHは家で使うエネルギーを自家発電で賄うことにより、エネルギー収支ゼロを目指す住宅です。自家発電なので電気代もかからずCO2も排出しない、災害時も停電しないというメリットがあります。
協和キリン株式会社
医薬品メーカーの協和キリンでは、2011年から再エネ導入を進めており、CO2を排出しない水力発電由来の電源に切り替えるアクアプレミアムを進めています。
2022年までに高崎工場で75%、富士事業場で100%をアクアプレミアムに切り替えました。これによりグループの年間CO2排出量の約39%を削減できる見通しです。
株式会社リコー
OA機器メーカーのリコーでは、事業活動で使う電力の再エネ率を2030年までに国内拠点で50%、海外の主要拠点で100%にすると表明しています。
また2016年から静岡県の開発センターにおいて、木質バイオマスエネルギーの地産地消モデルを運用しています。
アスクル株式会社
オフィス用品通販サービスのアスクルでは、2025年までに本社と物流センターでの再エネ利用率を100%に、2030年までに子会社を含めたグループ全体で再エネ利用率を100%にする目標を掲げています。
また事業運営に関わる車両を2030年までに100%EV(電気自動車)化する取り組みを行なっています。
東急株式会社
都市開発や交通インフラ事業を展開する東急では、2050年までに使用電力の100%再エネ化をグループ全体で進めています。東京・世田谷区を走る世田谷線は2019年より、運行に使用する電力を100%再エネ(水力と地熱発電で作った電力)化しました。
SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」に関する企業の取り組み事例(中小企業)
リソースが限られていてもアイデア次第でエネルギーシフトは可能です。注目の取り組みをしている中小企業をご紹介します。
株式会社大川印刷
創業140年の歴史を持つ横浜市の印刷会社・大川印刷では、2017年から本格的にSDGs経営を始め、2019年に本社工場の100%再エネ化を達成しました。
電力の20%は工場の屋上に設置した太陽光パネルから自家発電し、残り80%は川崎バイオマス発電所から購入しています。
榊原工業株式会社
愛知県西尾市にある従業員140名ほどの部品製造業・榊原工業では、工場やオフィスで使う電気の見える化を実施し、2030年までに2018年比で50.4%のCO2削減を目指しています。
農業や漁業が盛んな地域なため、環境配慮への取り組みを2008年から行なっています。
株式会社未来電力
大分県宇佐市のエネルギー総合企業・未来電力では、食品残さや焼酎かすを発酵させて発電させる、バイオガス発電を行なっています。発酵後に出る副産物の消化液は、肥料として地元農家で使用されています。
まとめ
経済活動や生活に欠かすことのできないエネルギーを、持続可能な方法で生み出す取り組みは全国で広がっています。再エネ普及はCO2排出量を削減できるだけなく、地下資源に乏しい日本のエネルギー自給率アップに寄与します。
ホールエナジーは、再エネ導入やカーボンニュートラル実現のサポートを得意としています。
再エネ導入のことでお悩みのことがあれば、お気軽にお問い合わせください。
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参考資料
ESGSTimes SDGs目標7「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」とは?企業の取り組み事例まで徹底解説
朝日新聞 SDGs(持続可能な開発目標)とは何か?17の目標をわかりやすく解説|日本の取り組み事例も紹介
外務省 SDGsとは?
外務省 SDGグローバル指標(SDG Indicators)