環境価値とは|3種類の証書と4つの課題・成功事例をわかりやすく解説

2023.03.14
カーボンニュートラル再生可能エネルギー環境価値

再生可能エネルギーは、電気、熱としての価値だけでなく、二酸化炭素を排出しないという価値を持っています。それを「環境価値」と言います。
この記事では、環境価値の目的や注目されている背景、3つの証書、課題などをわかりやすく解説していきます。

環境価値の購入を検討している担当者の方は、ぜひお役立てください。

  カーボンニュートラルへ向けた、

企業が取るべき具体的アクションとは?

環境価値とは

化石燃料によって発電した電気の場合、電気としての価値しかありません。
しかし、再生可能エネルギーから発電した電力は、CO2を排出しないという付加価値も加わります。
それが「環境価値」です。

電気そのものの価値と、環境面に関する価値を切り分けて考えたもので、売買することが可能です。

環境価値の目的

大きな要因として、地球温暖化の加速という深刻な問題があげられます。

地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出量を減らすことを目的としており、環境問題を改善することが課題です。
企業にとってもメリットがあり、環境価値を掲げることによって環境問題への関心が高く、積極的に課題解決へ取り組んでいる企業であることもアピールできます。

環境価値が注目されている背景

地球温暖化をはじめ、環境問題への社会的関心が高まっています。
企業に対しても例外ではなく、地球環境に対してどのような取り組みを行っているかが、企業イメージを大きく左右するようになってきました。

企業も環境価値を活用することで、環境問題へ取り組んでいることをアピールすることができるため、対外的な意味からも注目を集めるようになってきています。

環境価値の3種類の証書

環境価値には、「Jクレジット」「グリーン電力証書」「非化石証書」の3つがあります。
それぞれの内容について、詳しく解説していきます。

J-クレジットとは

再生可能エネルギーの導入による温室効果ガスの削減量や、植林活動による吸収量を「クレジット」として販売する制度です。
国が認証、運営しています。
創出者(作る側)と、購入者(使う側)で資金が循環する仕組みとなっています。

 J-クレジット制度のメリット

売る側のメリットとしては、売却益を設備投資などに回すことができ、温室効果ガスを削減したり、吸収量の増加につながったりする取り組みを実施できます。

買う側としては、ステークホルダーへのアピール、省エネ法・温対法への報告などに活用することが可能です。
どちらの立場においても、対外的に地球温暖化対策への貢献が認められるというメリットが挙げられます。

グリーン電力証書とは

グリーン電力証書とは、再生可能エネルギー由来の電力について、環境価値を第三者機関が認証したものです。
証書にすることで取引することが可能となりました。
グリーン電力証書を購入し、自社が使用した電気と組み合わせることで、再生可能エネルギー由来の電力として認定を受けることができます。

グリーン電力証書のメリット

売る側のメリットとしては、温室効果ガスの削減量に見合った利益を得られることです。
利益は、発電設備の導入やメンテナンスに利用することができます。

一方、買う側のメリットとしては、自社に再生可能エネルギーの発電設備がなくても、自社で利用している電気を「再生可能エネルギー」とみなせることです。
地球温暖化対策への貢献をアピールすることができます。

非化石証書とは

石炭や石油などの化石燃料を使わないエネルギーを、非化石エネルギーと言います。
この非化石エネルギーを「証書」として可視化したものが、非化石証書です。

3種類あり、「FIT非化石証書(再エネ指定)」「非FIT非化石証書(再エネ指定)」「非FIT非化石証書(指定なし)」に分かれています。

非化石証書の種類の表
非化石証書の種類

資料:資源エネルギー庁 非化石価値取引について-再エネ価値取引市場を中心に-から抜粋

 非化石証書は需要家でも購入できる

以前は、非化石証書を購入できるのは電力小売事業者のみで、需要家は購入することができませんでした。
しかし、2021年11月に制度が見直され、需要家なども購入できるようになっています。

非化石証書とは?価格や購入方法、トラッキングなどについて

環境価値の4つの課題

環境価値に関して、様々な問題も残っています。
4つの課題について、詳しく説明していきましょう。

環境価値の発行業者になるのは難しい

環境価値の発行業者になるためには、高いハードルがあります。
J-クレジットの場合、登録に時間がかかったり、売買の成立までに時間を要したりするなど、手続きや認証などが簡単ではありません。
そのため、すぐに販売利益を得ることが難しいのが現状です。

環境価値は自家消費できない

自社で創出した環境価値は売却しなければならず、環境価値は証書購入者に移行します。
自家消費することができないことが、デメリットと言えるでしょう。

売却すると二酸化炭素排出量の削減に貢献しているという対外的なアピールに使うことができず、自家消費した電力も電力会社から購入したものと同じように扱われてしまうのが現状です。

購入した環境価値は基本的に自家消費しなくてはならない

購入した環境価値については、転売できないというルールがあります。
非化石証書とグリーン電力証書は転売できないため、購入した企業が自社で消費しなければなりません。
ただし、J-クレジットに関しては転売や転売が可能となっています。

専門性が高い

そもそもエネルギー業界は専門性が高く、情報のアップデートも早い傾向があります。
環境価値の購入に関しても同様に、高い専門性が必要です。

各電力会社において比較することはもちろんですが、どのような基準で比較すべきか、判断も難しいのが現状です。
さらに、最新の市場動向のチェックも行わなければなりません。
専門コンサルティングへ依頼するのがおすすめです。

環境価値に関連するコンサルティング事例

環境価値の購入については、専門性が高いとお伝えしました。
専門コンサルティングへの依頼を検討している方に向け、環境価値に関連した、コンサルティング事例についてもご紹介していきます。

東京海上日動ファシリティーズ株式会社

東京海上日動ファシリティーズ株式会社では、社会的責任として本社の再生可能エネルギー100%化、主要拠点の再エネ化の拡大を目標としています。
そのために、非化石証書の購入代行を依頼しました。
コンサルティングによる購入代行により、約100トンのCO2排出量を削減できる見込みです。

 東レエンジニアリング株式会社

東レエンジニアリング株式会社では、カーボンニュートラルな社会の実現への取り組みを推進しています。
そのための取り組みとして、非化石証書の購入代行を依頼しました。
約360トンのCO2排出量の削減を見込んでおり、環境問題へ積極的な取り組みを行っています。

学校法人上智学院

上智学院は、継続してグローバル社会の直面する様々な課題解決に貢献することを目標として掲げています。
環境への具体的な取り組みとしては、非化石証書を購入することにより、秦野キャンパスで使用する電気においては、実質再生可能エネルギーにしたこととなります。

まとめ

再生可能エネルギーには、通常の発電方法では生み出すことのできない「環境価値」も含まれています。
また、環境価値は3つの証書として可視化されており、企業において様々な形で活用されています。
ただし、証書の売買については高い専門性も必要となるため、プロへ任せることも選択肢の一つと言えるでしょう。

近年、社会的に環境問題への関心も高まっています。
企業においても例外ではなく、環境問題へ対してどのような取り組みを行っているのか、消費者からの注目も高まっているのが現状です。
ぜひ、環境価値の活用も検討してみてはいかがでしょうか。

弊社ホールエナジーでは、非化石証書購入のお手伝いをさせていただいております。購入代行​サービスなども行っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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参考資料

資源エネルギー庁 再生可能エネルギーとは
資源エネルギー庁 第3節 一次エネルギーの動向
資源エネルギー庁 再エネのコストを考える
資源エネルギー庁 日本のエネルギー 2021年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」