動き始めた電力小売り。最終保障供給とどう比較する?

2023.02.14
コスト削減最終保障供給電力卸売市場電力業界制度

エネルギー価格と電力卸売市場高騰の影響で小売電力会社の値上げ、解約、事業撤退が相次ぎ、最終保障供給へ移行した電力需要家は、2022年10月には45,871件となり、2023年1月26日時点においても40,000件以上が最終保障供給で契約している状況です。
(電力ガス取引監視委員会 令和5年2月1日 News Release  より)

「最終保障供給」とは、

「小売電気事業者のいずれとも電気の需給契約についての交渉が成立しない高圧以上のお客さまに対して、電気最終保障供給約款に基づき電気を供給すること」
とされており、言い換えると、
「供給できる小売電気事業者がある場合は、小売電気事業者から受給してください。」というものです。

2022年後半から、徐々に小売電気事業者の新規受付が再開していますが、需要家の動きは鈍く、東京電力パワーグリッド社は、HPでも東京エリアで新規受付を再開している小売電気事業者を公表しているにも関わらず、最終保障供給契約数が減少する兆しはありません。

それもそのはず、現在新規受付を再開している小売電気事業者のほとんどが市場連動型での供給のため、需要家からすると、「市場が高騰しているのであれば、最終保障供給よりも高くなってしまうのではないか」という心理が働いているからだと推測します。

最終保障供給と小売電力会社の市場連動メニューどちらが安いのか?
の判断が極めて難しい事が需要家の動きを鈍くしているのではないでしょうか。

本コラムでは、最終保障供給で契約中の需要家が、最適な選択をするための方法をお伝えします。

避けられない電力卸売市場の影響!

電力会社選びで失敗しないための3STEP

下がり始めた電力卸売市場

先ずは、「電力卸売市場高騰」の事実確認をしたいと思います。
電力価格の高騰が予想されていた今冬ですが、予想されていた程価格は高騰していません。
日本卸電力取引所(JEPX)の電力取引価格は、8月頃をピークに下落傾向にあります。

例えば、東京エリアの価格(月間平均)は、以下の通りです。

8月 31.35円
9月 28.94円
10月 25.85円
11月 25.67円
12月 26.12円
1月 19.84円
2月 16.70円(1日~14日までの月平均)

日本卸電力取引所(JEPX) 取引情報 閲覧支援サービス より

「最終保障も市場連動型もどちらと契約をしても卸売市場の影響を受けるのであれば、
市場が安くなった時のメリットを享受できる市場連動型メニューで契約をしよう」という判断をしていたとすると、市場価格調整に下限のある最終保障供給よりも安く電気を使えていたかもしれません。

最終保障供給の料金改訂

最終保障供給の料金改訂も見逃せません。
2023年年4月から料金が高くなるのは契約中の皆さまもご存知かと思います。
この価格改定では、先ずは従量料金のベースが上がります。
6円/kWhの値上げとなりますので、インパクトはかなり大きいです。

最終保障供給料金の今回ご請求内容(値上がり)および更なる料金の見直しに関するお知らせ
(2022年10月 東京電力パワーグリッド株式会社発行)

そして、そのベースアップした料金に市場価格調整が行われます。
市場価格調整単価は安くなるという記載がありますが、需要家から見ると、ベースの必ず支払う料金の部分が高くなったため、市場が下落した際のメリットが少なくなったとも言えます。

動き出した小売電力会社

現状、新規で見積もりを出せる会社は、市場連動型の料金プランでの受付が大半です。
市場連動型プランと聞くと、「価格がすごく高くなる」というイメージを持たれ、敬遠されるケースもあるかもしれません。
しかし、本当にそうなのでしょうか?

最終保障や、旧一般電気事業者の小売電力会社の標準メニューのように、従量料金が固定単価で計算されるものであったとしても、卸売市場に連動する調整がされるのであれば、卸売市場の影響は避けられません。
もはや、固定料金は存在しないと思っていただいた方が慎重に契約先を選ぶことができる世の中です。
「市場連動型」に対抗するものは「固定+燃料・市場価格調整型」となっています。

小売電力会社は、ボランティアで事業を営んでいるわけではありませんので、供給を継続するためには、当然、利益の確保が必要です。
仕入れ価格が販売価格を上回らないようにするために、卸売市場に連動する仕組みを取り入れているのです。

「市場連動型」と「固定+燃料・市場価格調整型」の特徴

卸売市場の影響が避けられないのであれば、その中でも自社の使い方と相性がよく、電気料金を抑えられる可能性の高いプランを選択しなければなりません。

それでは、それぞれのプランの特徴をお伝えします。

固定+燃料・市場価格調整型の特徴

  • 基本料金や従量料金に電力会社のリスクプレミアムが乗っているため、卸売市場が落ち着いても高い料金を支払うことになる。
  • 卸売市場価格に加え、燃料価格の変動による影響も受ける
  • 燃料・市場価格の調整を過去3か月の平均値を使用する事が多いため、変動が比較的緩やか
  • 最終保障供給の場合は、卸売市場下落時のメリットがない(上述の通り)

市場連動型の特徴

  • リアルタイムで卸売市場の影響を受ける
  • 卸売市場が落ち着いた際の下限かなく、電気料金が安くなる
  • 燃料価格の変動には影響されない
  • エリアプライスの安い時間に電気を多く使っているなど、電気の使い方によってはメリットが大きくなる

本来、市場連動型プランは、余計なマージンが乗っていないという点で、一番安いプランと考えることができると思います。固定型のプランは、リスクヘッジのための価格が上乗せされるケースが大半だからです。

このように考えると、市場が落ち着いている今、市場連動型プランにすることが得策だと思えてきませんか?

上記の特徴を踏まえ、実際に自社の30分値データでそれぞれのプランで電気料金を算出する事をお勧めします。

具体的な比較方法はこちらの資料をご活用ください。

まとめ

  • 最終保障供給も卸売市場の影響を受ける
  • 固定料金ではなく「固定+燃料・市場調整型」が正しい表現
  • 市場連動型プランは、リスクプレミアムが乗っていない
  • 市場連動型プランは、燃料費高騰による料金の変動がない

契約先の選定にお困りの企業は、卸売市場が落ち着いている今、市場連動メニューを検討する事をお勧めします。

市場連動型メニューをお勧めするケース

  • 現在、最終保障契約で契約をしている
  • 価格が抑えられるなら、月毎の価格変動が大きくても問題ない
  • いずれにしても市場の影響を受けるのであれば、シンプルな料金構成の方がいい

市場連動型メニューをお勧めしないケース

  • リスクプレミアムを支払ったとしても、月毎の変動が緩やかな方がいい
  • 工場など、24時間に近い電気の使い方をしている(今でも朝、夜は価格が比較的高いため)

本コラムを読んでいただいて、少しでも市場連動型プランに興味を持っていただいたお客様は、
弊社までご連絡いただけましたら、専任のコンサルタントが伴走し、お客様の最適な電気契約をサポートいたします。

各プランの比較サービスも行っておりますので、お気軽にご連絡ください。

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