脱炭素とは?日本の目標や企業が脱炭素化に取り組む方法を簡単に解説
地球温暖化による気候変動が進み、環境問題へ対して国際的に関心が高まっている中で、「脱炭素」というキーワードを耳にする機会も増えたのではないでしょうか。この記事では、「脱炭素の定義」「脱炭素化の必要性」「脱炭素に関する基本用語」「脱炭素化に向けて各国が掲げている目標」などについて解説します。
企業が脱炭素化に取り組むメリットもご紹介しますので、取り組みを強化したいと考えている企業の方は、ぜひ参考にしてください。
カーボンニュートラルへ向けた、
企業が取るべき具体的アクションとは?
脱炭素とは
脱炭素とは、「温室効果ガスの排出量の実質ゼロを目指すこと」です。温室効果ガスにはさまざまな種類があり、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどが含まれます。中でも温暖化の原因となっている二酸化炭素は、排出量として特に大きな割合を占めており、二酸化炭素の排出量をどう抑えるかが大きな課題となっています。
脱炭素化を目指す必要性
なぜ脱炭素化する必要があるのでしょうか。その理由について見ていきましょう。
地球温暖化によって気候変動が起きているため
最も大きな理由としては、地球温暖化が進んでいるという深刻な環境問題があげられます。二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出量が今後も増えていくと、海面上昇、洪水や干ばつなどが進み、私たちの生活にも大きな影響をもたらします。
将来的に化石燃料の資源がなくなるため
私たちが使っているエネルギー資源として、石油や石炭、天然ガス、ウランといった化石資源があります。しかし、このままのスピードで化石燃料を消費していくと近い将来枯渇すると予測されています。化石燃料に代わる、エネルギー資源の確保が大きな課題です。
脱炭素を理解する上で知っておくべき4つの基本用語
脱炭素化を理解する上で重要な、3つの基本用語を理解しておきましょう。
カーボンニュートラル
カーボンニュートラルとは、二酸化炭素の排出量と吸収量を均衡させることで、排出量を実質ゼロにすることを指します。経済活動を行う上で、二酸化炭素の排出量をゼロにすることは難しいため、その代わりに森林管理などを行うことで吸収量を増やそうという考えです。
そのため、脱炭素を進めるだけではなく、吸収量増やすための保全、強化を行う必要があります。
パリ協定
パリ協定とは、パリで開催されたCOP21(第21回気候変動枠組条約締約国会議)で合意されたもので、2016年に採択されました。制定された二酸化炭素排出量の削減目標を達成するための取り組みや、状況報告などを促すための協定です。
日本、アメリカ、中国、EUなど、温室効果ガス排出量上位国を中心とした多数の国や地域が加盟しています。
SDGs
SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略語で持続可能でよりよい社会を目指すための国際目標です。197ヵ国が加盟しており、2015年9月の国連サミットにおいて全会一致で採択されました。17の目標、169のターゲットから構成されており、2030年までの達成を目標として掲げています。
脱炭素社会
脱炭素社会とは、温室効果ガスの中でも最も排出量が多い二酸化炭素について、排出量の実質ゼロを達成した社会のことです。脱炭素社会は環境問題への対応を進めた社会の在り方を示しており、脱炭素化における国際的な目標となっています。
もともとパリ協定以前には、CO2排出量を従来よりも抑制することを目指す「低炭素社会」が国際的な目標とされていました。パリ協定を境に、できるだけ早くCO2排出量の実質ゼロを達成すべきという認識が広まり、低炭素社会から脱炭素社会へと世界各国の目標が切り替わった形です。
排出量の抑制のみを目指していた低炭素社会と比べて、脱炭素社会は排出量の抑制と吸収量の増加に着目しており、脱炭素化に向けてより進んだ考え方と言えます。
脱炭素化に向けて日本が掲げている目標と取り組み
日本は2015年、2030年度に温室効果ガスを2013年度比で26%(2005年度比で25.4%)削減することを脱炭素化目標として掲げました。2021年には目標を改定し、2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%の削減を目指し、さらに50%削減という高みに向け挑戦を続けるとしています。
以下では、脱炭素化目標の達成に向けて、日本が実施している6つの取り組みを紹介します。
グリーン成長戦略
グリーン成長戦略とは、脱炭素化に向けた積極的な対策の導入によって産業構造の変革と成長を図り、経済と環境の好循環を作ることを目的とした産業政策です。正式には「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」と呼ばれます。
グリーン成長戦略は、特に成長が期待される分野について実行計画・目標が策定され、国による政策支援も集中している点が特徴です。政策の例を4つ紹介します。
・グリーンイノベーション基金(10年間・2兆円の基金)の創設 ・カーボンニュートラルに向けた投資促進税制(最大10%の税額控除・50%の特別償却) ・グリーン国際金融センターの実現 ・日米・日EU間の技術協力 |
グリーン成長戦略は他にもさまざまな政策があり、脱炭素技術の研究・開発といった企業の挑戦を後押ししています。
出典:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」
出典:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」PDF
脱炭素事業への出資制度
脱炭素事業への出資制度とは、株式会社脱炭素化支援機構が実施する、脱炭素化の実現に意欲的に取り組む企業を対象とした投融資活動です。
株式会社脱炭素化支援機構は、改正地球温暖化対策推進法にもとづき、国の財政投融資による出資と民間の出資を原資としてファンド事業を行う会社です。脱炭素化事業への出資制度は、脱炭素に向けた資金の流れを強く作り、地方創生・人材育成といった新たな価値創造への貢献を目的としています。
ゼロカーボンシティの実現
ゼロカーボンシティとは、2050年のCO2排出実質ゼロを目指す旨を表明した地方自治体のことです。「ゼロカーボンシティ宣言」とも呼ばれ、2023年12月18日時点で46都道府県・570市・22特別区・327町・48村が表明しています。
ゼロカーボンシティの実現には、太陽光発電システムをはじめとした再生可能エネルギーの積極的な導入が必要です。環境省は再生可能エネルギー導入についてなどの情報基盤を整備・提供しており、地方自治体のCO2排出量削減の取り組みを支援しています。
地方自治体は再生可能エネルギーを導入・活用促進をすることで、産業の活性化や雇用創出ができ、災害対応力の向上にもつながるメリットがあります。
出典:環境省「地方公共団体における2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明の状況」
出典:環境省「2050年 二酸化炭素排出実質ゼロ表明 自治体」
脱炭素経営の支援
脱炭素経営とは、企業が気候変動対策を経営における重要課題として捉え、脱炭素化に向けて全社を挙げて取り組む経営姿勢のことです。脱炭素経営の取り組みは大手企業を中心に広がっており、環境省や経済産業省による支援も充実しています。
脱炭素経営の主な支援策を3つ紹介します。
● IT導入補助金(通常枠) 排出量の見える化などができる排出量算定ツールや、エネルギーマネジメントシステムの導入といった取り組みを対象とした補助金制度です。導入するプロセス数により2種類の事業区分があり、補助上限額は最大450万円です。 ● SHIFT事業 工場・事業場における先導的な脱炭素化の取り組み推進を目的とした補助金制度です。4種類の事業区分があり、補助上限額は最大5億円です。 ● 省エネ補助金 工場・事業場で、エネルギー消費効率の高い設備への更新をする際に利用できる補助金制度です。3種類の事業区分があり、補助上限額は最大15億円(非化石転換は20億円)と高く設定されています。 |
出典:SHIFT事業ウェブサイト「環境省_SHIFT事業とは」
出典:経済産業省「令和5年度補正予算における省エネ支援策パッケージ」
脱炭素ライフスタイルへの転換促進
脱炭素化目標の実現には、地方自治体・企業だけでなく、日常生活でのCO2排出量の削減活動も必要となります。脱炭素ライフスタイルへの転換促進とは、日常生活における脱炭素化の取り組みです。
脱炭素ライフスタイルへの転換促進としては、主に「衣・食・住」に関する取り組みが挙げられます。消費者がエネルギー資源の消費量が少ない製品を購入したり、エネルギー効率のよいライフスタイルを選んだりするなど、脱炭素につながる選択ができるよう支援する内容です。
また、環境問題についての積極的な情報発信や、草の根運動として行われている環境保全活動の支援といった取り組みも予定されています。
出典:環境省「脱炭素に向けたライフスタイルに関する基礎資料」
RE100への取り組みと普及
RE100とは、企業の事業活動で使用するエネルギーについて100%再生可能エネルギーにすることを目標とした国際的な取り組みです。
RE100への取り組みは環境省自体も行っており、公的機関による率先した取り組みで普及を進めています。2019年には「環境省RE100達成のための行動計画」を策定し、2030年までの環境省RE100達成を目標として掲げています。
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脱炭素化に向けて主要各国が掲げている目標
脱炭素化へ向けて、主要各国がそれぞれ目標を掲げています。詳しく見ていきましょう。
アメリカ|温室効果ガスの削減目標
アメリカでは温室効果ガスの削減目標として、2030年までに2005年と比べ50~52%削減、2050年までに80%以上削減することを掲げています。さらに、脱炭素化の推進、森林を16万~20万k㎡拡大すること、クリーンエネルギー分野への持続的な投資を行うクリーンイノベーションの支援なども目標としています。
カナダ|温室効果ガスの削減目標
カナダでは、2030年までに2005年と比べて40~45%削減、2050年までに80%削減することを目標としています。また、電力の脱炭素化の推進や、運輸部門の電化を進めることで大規模な燃料転換を行う取り組みも行われています。
イギリス|温室効果ガスの削減目標
イギリスの削減目標は、2030年までに1990年と比べて68%、2050年までに80%となっています。他にも、産業業務部門において低炭素燃料への転換を行うことでのエネルギー効率改善や、乗用車や小型トラックのゼロエミッション化、森林面積を18万ha拡大することも目標としています。
ドイツ|温室効果ガスの削減目標
2030年までに1990年と比べ55%削減、2050年までに80~95%削減がドイツの削減目標です。さらに、再生可能エネルギーの割合を増やしていくこと、交通システムの脱炭素化、税金や補助金制度の見直しによる投資インセンティブの付与なども取り組みとして行われています。
フランス|温室効果ガスの削減目標
フランスでは、2030年までに1990年と比べ40%削減、2050年までに75%削減することを目標として掲げています。さらに、「省エネ建築」規格に適合するために建物の改修を実施したり、リサイクルや再利用の促進をしたりすることも目標としています。
企業が脱炭素化に取り組むメリット
国際的に取り組まれている脱炭素化ですが、企業はどのように関わっていけばいいのでしょうか。企業が脱炭素化に取り組むメリットについても見ていきます。
競合他社より優位に立てる可能性がある
特にグローバル企業において、自社だけではなく取引先にも脱炭素の取り組みを求める傾向が強まっています。この傾向は今後ますます強くなると考えられており、脱炭素化を進めることが競合企業との差別化につながる可能性があります。
事業コストの削減につながる
現在の設備を見直し、エネルギーの効率化をはかることによって、光熱費や燃料費、人件費などの事業コストの削減につながることが期待できます。
企業の知名度が向上する
脱炭素化に対する関心は年々高まっており、企業がどのような取り組みを行っているかにも注目が集まっています。脱炭素に取り組むことで、企業の知名度や信頼度がアップし、企業ブランディングにもつながる可能性があります。
資金調達がしやすくなる
金融機関においても脱炭素化に向けた動きが加速しており、脱炭素化に取り組む企業に対して、金利を優遇する金融機関が出てきています。さらに、再生可能エネルギーの導入に対して補助金が出るケースもあるため、さまざまな面において資金調達がしやすくなるメリットがあります。
脱炭素経営をするために取り組むべき3つの枠組み
企業が脱炭素経営を行うにあたっては、目標設定の基準となる3つの枠組みがあります。
● RE100 RE100は、事業活動での使用電力を再生可能エネルギーによる発電分のみとする取り組みです。 企業がRE100を達成するには、主に3つの方法があります。 ・再エネ発電設備の導入 ・発電事業者や小売電気事業者との再エネ電力購入契約 ・環境価値証書の購入 RE100への取り組みにより、企業は脱炭素経営の対外アピールができ、企業間の交流や投資の呼び込みにつながります。 ● TCFD TCFDとは、金融安定理事会(FSB)により創設された、気候関連の情報開示について検討するためのタスクフォースです。投資家などが投資判断に必要な気候関連の財務情報を取得できるよう、企業側に情報開示を促すことを目的としています。 TCFDは「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目について、企業の情報開示を推奨しています。 ● SBT SBTとは、企業が定める温室効果ガス排出削減目標のことです。SBTで定める目標は、パリ協定が求める温度目標の水準と整合させる必要があります。 企業が設定したSBTがパリ協定が求める水準に適合していれば、「SBTi」という国際的な共同イニシアティブによりSBT認定が与えられます。 |
企業ができる脱炭素経営の方法6ステップ
企業が脱炭素経営を行うには、自社がどのように脱炭素化に取り組めるか、具体的な効果を出せるかなどを十分に検討することが大切です。ここでは、環境省の「中小規模事業者向けの脱炭素経営導入ハンドブック」を参考に、企業ができる脱炭素経営の方法を6ステップに分けて解説します。
出典:環境省「中小規模事業者向けの脱炭素経営導入ハンドブック~これから脱炭素化へ取り組む事業者の皆様へ~Ver.1.0」
脱炭素に関する情報を集める
まずは自社を取り巻く脱炭素に関する情報を集めましょう。世の中の脱炭素化に向けた動きを調べることで、自社が脱炭素化によって得られる効果や社会的に求められる役割を把握できます。
具体的に調べる情報は、下記の4点です。
・世の中の動き | 日本政府の脱炭素化に関する政策や補助制度を調べる。 |
・地域の動き | 地方自治体の政策・補助制度の調査や、支援機関主催のセミナーに参加する。 |
・バリューチェーンの動き | バリューチェーン上における脱炭素化の取り組み事例や要請などを調べる。 |
・消費者の動き | 脱炭素化した商品・サービスの情報やニーズの変化を調べる。 |
集めた脱炭素化に関する情報を整理し、自社の脱炭素経営にどのようにかかわるかを分析しましょう。
自社の方針を検討する
集めた情報をもとにして、脱炭素経営に取り組む自社の方針を検討します。日本が掲げる「2050年カーボンニュートラルの実現」という目標に向けて、自社は何ができるか、商品にどのような付加価値を提供できるかを考えましょう。
脱炭素化に向けた自社の方針は、自社の事業内容や規模、サプライチェーンの全体像を踏まえて決めることが大切です。例として、機械部品を製造する工場であれば「サプライチェーン全体のCO2排出量を削減する」などが脱炭素化の方針となります。
CO2排出量を算定する
自社の方針を明確化できたら、方針を具体的な施策へと落とし込むために、自社のCO2排出量を算定します。
そもそもCO2排出量の算定対象となる主なエネルギーは、下記の8種類があります。
・電力 ・灯油 ・都市ガス ・ガソリン ・A重油 ・軽油 ・液化石油ガス ・液化天然ガス |
自社の事業活動で使用しているエネルギー種別を明確にした上で、下記の計算式でCO2排出量を算定しましょう。
●CO2排出量の計算式
CO2排出量=活動量×排出係数 |
活動量とは、事業活動で使用する電力・灯油といったエネルギーの使用量です。エネルギー種別により定められた係数を乗じることで、CO2排出量が算定できます。CO2排出量の算定には、業界団体や自治体などが提供するCO2排出量の算定ツールを利用することがおすすめです。
CO2を削減すべき対象を決める
CO2排出量の算定後は、事業所単位や事業活動単位でCO2排出量を分析しましょう。自社の事業でCO2排出量が多いポイントが分かり、CO2を削減すべき対象の決定に役立ちます。
例として、工場Aと工場Bは同じ規模であるものの、CO2排出量は工場Aのほうが突出して多い場合は、工場AをCO2削減の対象とします。工場Aと工場Bの操業内容を比較し、工場BがCO2排出量を抑制できている理由も調べるべき情報です。
また、事業活動で使用しているエネルギーの中でも、電気使用によるCO2排出量が多い場合は、電気の省エネ化を検討すべきと言えます。どのような事業活動で電気を使用しているかを調べたり、再生可能エネルギーへの転換が可能かを検討したりすることが必要です。
削減計画を策定する
CO2を削減すべき対象を決めた後は、具体的な削減計画を策定します。
削減計画の策定は下記の手順で行いましょう。
(1) | 自社のCO2排出量の特徴を分析する。 |
(2) | 2050年カーボンニュートラルの実現に向けた定量的な目標を定める。 |
(3) | 目標達成につながり、かつ自社で可能な削減対策の洗い出しを行う。 |
(4) | 削減対策をリストアップし、実行のしやすさで分類する。 |
(5) | 実施する削減対策を決定し、対策ごとに実行時期を定める。 |
(2)で定める定量的な目標は、最終目標だけでなく中間目標も定めることがおすすめです。企業の目標は、政府の脱炭素化目標である「2030年までに2013年度比で46%の削減を目指す」などを参考にするとよいでしょう。
また、(5)で挙げた削減対策の実行時期は、実行のしやすさなどを踏まえて短期・中期・長期に分類します。すぐに実行しやすい対策は短期、導入に時間やコストがかかる対策は中期~長期に設定すると、実現可能性の高い削減計画を作れます。
削減を実行後、計画を見直す
策定した削減計画に沿って、削減対策を実行します。削減対策実行の際は、効果を記録・検証できる体制を用意しましょう。設備投資などの規模が大きい対策では、リース会社・金融機関へのファイナンス相談や、設備業者への相談も必要です。
また、削減対策で実行した内容は、脱炭素経営の取り組みとして社内外に発信しましょう。社内に向けた発信は、取り組みへのモチベーション向上や従業員の意識統一に役立ちます。社外への発信は、認知度向上やブランディングにつながります。
実行した削減対策は導入効果を検証し、目標への進捗度を確認するなど、継続的な見直しが重要です。削減対策による効果が十分に出ていなかったり、設定した目標の達成が困難であったりした場合には、削減対策の手法や計画全体について改善を図ります。
脱炭素経営の成功事例
脱炭素経営を計画する際には、成功事例を調査して、具体的な取り組みや成功要因を調べるとよいでしょう。ここでは、環境省の「中小規模事業者向けの脱炭素経営導入 事例集」から、脱炭素経営の成功事例を2つ紹介します。
加藤軽金属工業
加藤軽金属工業株式会社はアルミ押出形材の生産を事業とする会社です。もともと経営陣主導で進めていた脱炭素経営への取り組みを現場主導へとシフトし、取り組みの高度化や効果的な削減対策の実施をしています。
加藤軽金属工業は、下記の流れで脱炭素経営の取り組みを行いました。
1.情報収集 |
自社の事業環境を分析し、CO2排出量の開示や材質等の差別化が求められていることを把握する。 |
↓
2.方針決定 |
「製品単位でのCO2排出量の開示」と「グリーンアルミなどの先進的な取り組みの実施」を方針に定める。 |
↓
3.CO2排出量の算定 |
省エネ診断によるCO2排出量の分析を行い、「運用上の無駄」「設備の劣化」への対策がCO2排出削減につながることを特定する。 |
↓
4.削減対象の決定 |
サプライチェーンのCO2排出量を削減対象に決定する。 |
↓
5.削減計画の策定 |
削減対策を選定し、施策の優先順位付けや脱炭素経営に向けた貯蓄の計画を策定する。 |
↓
6.削減計画の実行 |
アルミニウム業界の上流・下流や同業他社を巻き込んだ構想を企画し、サプライチェーン排出量の削減対策を実行する。 |
加藤軽金属工業はサプライチェーン排出量の削減対策実行を通して、先進的な企業イメージの獲得や、新規事業の創出に成功しました。
おぎそ
株式会社おぎそは、強化磁器食器の販売メーカーです。おぎそではもともと脱炭素経営に取り組んでおり、コロナ禍の際に考案した食器のリペア事業をきっかけとして、CO2排出量削減に向けたより積極的な活動をしています。
おぎそは脱炭素経営の取り組みを下記の流れで実施しました。
1.方針決定 |
「自社のCO2排出量削減の対策打ち出し」「リペア事業によるCO2削減量の可視化」を方針に決定する。 |
↓
2.CO2排出量の算定 |
算定する対象範囲・年数を明確にした上で、リサイクル食器とリペア食器のそれぞれについてCO2排出量を算定し、リペア事業のCO2削減量を可視化する。 |
↓
3.削減対象の決定 |
省エネに関するガイドラインなどの資料や、省エネお助け隊の専門家の意見を参考に、削減対象や削減対策の検討を行う。 |
↓
4.削減計画の策定 |
実現可能な削減対策を導入コストと導入難易度で評価し、優先順位を付ける。 |
↓
5.削減計画の実行 |
より実践的な削減対策の検討や、リペア事業の顧客へのヒアリングなどを行い、削減計画の実行・調整を進める。 |
おぎそは、取り組みの関係者とのつながり・関係構築を重視しており、事業のアピールによる知名度・認知度の向上や人材獲得力の向上といった成果を得られています。
まとめ
脱炭素化への関心が国内外で高まっており、世界共通の目標となってきています。各国で削減目標を定め、目標達成に向けた具体的施策を行っており、日本においてもさまざまな取り組みが実施されています。
さらに企業に対しても脱炭素化が求められており、取り組む企業へ対するメリットも増えてきていると言えるでしょう。脱炭素化に向けた取り組みを強化したいと考えている企業のかたは、この機会にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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カーボンニュートラルへ向けた、
企業が取るべき具体的アクションとは?