再生可能エネルギーの4つの課題とは?日本の現状やメリットなどを解説

2022.10.20
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カーボンニュートラル、SDGsの取り組みなど、再生可能エネルギーへの注目度が高まっています。
この記事では、再生可能エネルギーのメリットや、デメリットともいえる4つの課題、今後の動きなどをわかりやすく解説いたしました。

  カーボンニュートラルへ向けた、

企業が取るべき具体的アクションとは?

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは、エネルギー供給構造高度化法で「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」と定義されています。
そのため、自然界に存在しエネルギー源が枯渇する心配がなく、火力発電における二酸化炭素などの温室効果ガスも排出しないため、環境にも配慮することが可能となりました。

日本のエネルギーの約80%近くが石油・石炭・天然ガスなど、海外エネルギーに頼っているのが現状です。
この状況を打開すべく、再生可能エネルギーに注目が集まっています。

日本における再生可能エネルギーの現状

大きく注目されている再生可能エネルギーですが、日本では一体どのくらい普及しているのでしょうか?

再生可能エネルギーの発電量は増え続けている

2012年からはじまった固定価格買取制度(FIT)により、再生可能エネルギーの導入が進みました。
その結果、2020年度の資源エネルギー庁による発表では、再生可能エネルギーは8年連続で増加しています。

特に増加傾向にあるのは、太陽光発電・風力発電です。
太陽光発電では、屋根に太陽光パネルを設置して太陽光発電を行う住宅が増え、そのための補助金制度や電力購入制度によって、徐々に数を伸ばしてきています。

また、風力発電は、東北地方での設置割合が大きいです。
これは、東北が風況に恵まれた地域だからこそ活かせる再生可能エネルギーとなっています。

他にも、水力を除く再生可能エネルギーは、前年度から7.1%増加しています。

諸外国に比べると導入率は低い

しかしながら毎年増加しているとはいえ、諸外国に比べると日本における再生可能エネルギーの導入率は低いのが現状です。
ドイツでは35.3%、イギリスでは33.5%などの導入率を誇りますが、日本ではいまだ18%にとどまっています。
今後は、再生可能エネルギーの導入率をいかに上げていくかが重要です。

主な再生可能エネルギーの種類

再生可能エネルギーはあくまでも総称であり、蓋を開けてみるとさまざまな種類があります。
今回は代表的な再生可能エネルギーをご紹介いたします。

太陽光発電

太陽の光を使って発電する再生可能エネルギーとして、広く知られているのではないでしょうか。
太陽光発電は、太陽光パネルの半導体に太陽の光が当たることで電気が発生し、変換効率は素材や住宅用・産業用で異なります。
一般家庭にも広く普及されており、最も身近な再生可能エネルギーと言えるでしょう。

さらに、企業でも「電力コスト削減」や「CSRの一環」などを目的に導入が増えています。

風力発電

風の力を利用し、風車を回すことで発電機を動かす回転エネルギーです。
主に陸地に設置する陸上風力と、海の上に設置する洋上風力があります。
他にも、プロペラ型やサボニウス型、ジャイロミサイル型など、さまざまな種類があり、それぞれ風の力を利用することで約30~40%のエネルギー変換率を誇ります。
主に日本では陸上設置が多いですが、設置できる土地は限られているため洋上設置も検討されています。

また日中のみの太陽光と違い、風があれば24時間発電可能なため、再生可能エネルギーとしては、水力発電の次に高い水準です。

水力発電

水を高い位置から落下させることによる位置エネルギーを利用し、発電させます。
風車同様、水車を回転させることで発電を促し、再生可能エネルギーとしては最も高い約80%のエネルギー変換率となっています。
日本では豊稔池ダムや黒部ダムなどで稼働しており、「水路式」、「ダム式」、「ダム水路式」の3種類が主な発電方法です。

他にも、「マイクロ水力発電」といった、比較的小さな川でも発電可能な方法が導入されています。
日本は水資源が豊富なため水力発電は以前から盛んに行われていました。
ダムを利用した大規模な水力発電だけではなく、河川の流れや農業用水などを利用した中小水力発電も行っています。
また、太陽光や風力に比べ、自然条件に左右されにくい点が特徴です。


その他の再生可能エネルギー       

三つの代表的な再生可能エネルギーの他に、地熱発電やバイオマス発電も新たな取り組みとして行われています。

バイオマス発電

廃材や食品廃棄物、家畜の糞尿など、今まで捨てるしかなかったものを生物資源(バイオマス)として着目し、再生可能エネルギーへと変換させたのがバイオマス発電です。
生物資源(バイオマス)を燃やしたりガス化したりすることで、タービンを回転させ発電させます。

SDGsへの取り組みが拡大する一方で、このバイオマス発電も廃棄物を再利用した循環型の再生可能エネルギーとして脚光を浴びています。

地熱発電

地熱発電は地球内部のマグマの熱を利用します。
日本は火山帯にあるため、利用しやすいのが特徴です。
地下1,000~3,000mの場所にある地熱貯留層から蒸気を汲み上げ、タービンを回転させて発電します。
主な種類は、貯留槽から200度を超える熱さの水を直接汲み上げる「フラッシュ方式」と、新たに堀進める必要がない温泉熱や温泉井戸を利用した「バイナリ方式」です。

環境に配慮する点を踏まえ、「バイナリ方式」の普及が有望視されています。


再生可能エネルギーの3つのメリット

さまざまな種類のある再生可能エネルギーですが、大きく分けて3つのメリットがあります。

CO2など温室効果ガスの排出がない

どの再生可能エネルギーも、火力発電などに比べてCO2など温室効果ガスが少なく、地球温暖化を防止するために役立ちます。
地球温暖化は世界共通の大きな課題であり、原因となるCO2など温室効果ガス削減は急務を要します。再生可能エネルギーの導入を進めれば、国全体の温室効果ガス排出量を削減でき、環境に優しいエネルギーを生み出すことが可能です。

エネルギーの海外依存を軽減できる

日本ではエネルギー資源の80%近くを海外に依存しています。
その結果、国内におけるエネルギー自給率は、2020年度の発表で、わずか11.2%となりました。
このことから「再生可能エネルギーの拡充で自給率を高められるのではないか」と期待が高まっています。

枯渇する心配がない

再生可能エネルギーは自然界に存在する持続可能なエネルギーのため、枯渇する心配がありません。
しかし、化石燃料はできるまで非常に長い年月がかかる一方で、急速に消費されてしまうため、このままではいずれ枯渇する危険があります。
再生可能エネルギーなら枯渇の心配がなく、安心してエネルギーの供給を行うことができるのです。

 

再生可能エネルギーの4つの課題

今後も期待が高まる再生可能エネルギーですが、導入にあたり4つの課題があります。

日本では発電コストが高い

広く導入されている太陽光発電システムについて、ヨーロッパなどと比較すると費用が高く、日本ではなかなか導入率が上がらないという問題を抱えています。
しかしながら、今後の技術開発でコストダウンが進んでいく見通しが立っています。

国民の負担が大きくなる

再生可能エネルギーの固定価格買取制度「フィードインタリフ(Feed-in Tariff)」の略称であるFITという制度があり、一般家庭や企業が再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が買い取ることを国が約束しています。
しかし、電気の買取費用は「賦課金」という形で、一部の国民が毎月の電気料金に上乗せられているため、負担をしなければなりません。
そこで、2017年4月に「再生可能エネルギー特別措置法の一部を改正する法律(改正FIT法)」を施行し、FITの見直しが進められています。

安定した発電量の確保が難しい

再生可能エネルギーは自然由来の資源を利用するため、良くも悪くも天候に左右されてしまいます。
さらに、再生可能エネルギーは大量にためておくことが難しいので、安定的な発電量を維持することができません。
環境要因で需要と供給のバランスが崩れやすいため、主力電力としての利用が現実的ではないのです。 こうした観点から、VPP(バーチャルパワープラント)のシステムを使い、コントロールすることで再生可能エネルギーの実用化を進めています。

エネルギーの変換効率が低い

変換効率とは再生可能エネルギーを電気に変換する際の効率であり、太陽光発電でいえば15%~20%程度となっています。
火力発電や原子力発電に比べれば数値は低いですが、研究開発が進み日本企業が37.9%の実証に成功しました。 今後はますます変換効率アップが期待されています。

再生可能エネルギーをとりまく今後の動き

持続可能な再生可能エネルギーの需要が高まるにつれて、今後の動きも活発になってきました。

2030年度までに再生可能エネルギーを36〜38%にする

日本は2050年までに「カーボンニュートラル」実現を目標に掲げています。
「カーボンニュートラル」とはCO2だけに限らず、メタン、N2O(一酸化二窒素)、フロンガスを含む温室効果ガスの排出を0にすることです。
そのために、2030年度までに再生可能エネルギーを36〜38%にする目標を立てています。
徐々に再生可能エネルギーの拡充を開始し、日本企業が「III-V族太陽光電池」においてセル変換効率37.9%、モジュール変換効率31.7% という世界最高の効率を実証しました。

※セル変換効率、モジュール変換効率についてはこちらのサイトから抜粋しております。

2022年4月からFIP制度がはじまった

さらに、2022年4月からFIP制度がはじまりました。

FIPとは「フィードインプレミアム(Feed-in Premium)」の略称で、固定価格で買い取らず、再生可能エネルギーを発電事業者が売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで、再生可能エネルギー導入を促進することとなりました。

FITでは、1kWhあたりの単価(調達価格)が決まっています。
これと同じように、FIPでも基準価格(FIP価格)があり、市場取引などによって発電事業者が期待できる収入分の参照価格も定められました。
この基準価格と参照価格の差分をプレミアム(補助額)としています。
これで再生可能エネルギーを導入する企業が増え、賦課金が減少することで国民の負担が軽くなる見込みです。

まとめ

徐々に増えつつある再生可能エネルギーは、さまざまな可能性を秘めています。
カーボンニュートラル、SDGsの取り組み以外にも、国内でのエネルギー供給の大きな強みとなるでしょう。
一方で、導入率や4つの課題など、乗り越えなければならない問題も残っています。
今後も再生可能エネルギーの需要はますます高まっていくのは明白です。

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ぜひ一度、ご相談のほどお待ちしております。
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参考資料
再生可能エネルギーとは 資源エネルギー庁
令和2年度(2020年度)エネルギー需給実績(速報) 資源エネルギー庁
日本のエネルギー 2020年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」  資源エネルギー庁

令和2年度(2020年度)エネルギー需給実績(速報) 資源エネルギー庁

変換効率37%も達成!「太陽光発電」はどこまで進化した? 資源エネルギー庁

2050年カーボンニュートラルを目指す 日本の新たな「エネルギー基本計画」 資源エネルギー庁