再生可能エネルギーのコストはどのくらい?日本と世界の違いや今後の見通しなどを解説

2022.08.09
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本記事ではカーボンニュートラルに向けての【コスト】について触れていきます。
日本と世界のコスト面の違いや、日本のカーボンニュートラルに向けたコスト、コスト削減のための取り組みなど様々な点で抑えてみましょう。

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再生可能エネルギーとは

まずは基盤である【再生可能エネルギー】について確認しておきましょう。

再生可能エネルギーとは「エネルギー供給構造高度化法」において「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」と定義されています。

簡潔にまとめますと、太陽光・風力・水力・バイオマス等の自然界に存在する温室効果ガスを排出しないエネルギーのことを指します。また永続的=枯渇することなくエネルギーを生み出すことができます。

再生可能エネルギーのコスト面はどうなっているのでしょうか。
再生可能エネルギーを発電する側では、初期コストは膨大に発生し、陽光や風力といった一部電源は季節や天候によって左右される等の問題があり、費用・時間等の問題が顕在化しております。

日本の再生可能エネルギーコストの現状

コスト面について日本に焦点を合わせてみましょう。

結果からすると、日本のコストは諸外国と比べて高いと言えます。
主たる原因として、地理的要因や再エネ導入までに環境面等の理由が挙げられます。
以下にて詳しく紐解いていきます。

主な再生可能エネルギーのコスト

主に日本のコストが一番かかる原因として、発電所設立などの初期費用にかかるものがほとんどと言えます。
日本の再エネ市場規模はまだまだ小さく、そのため環境や施設などの整備が整っていないため、ビジネスとしての発達が諸外国に比べて遅れています。

日本と世界の再生可能エネルギーコストの違い

太陽光発電に視点を向けてみます。日本の太陽光発電(非住宅)と諸外国(主に欧州)を比べた場合、システム費用に2倍近くの差が見られます。この差の意味は、コストの高さ=日本国民への負担額高くなるということです。
FIT法(電力会社に再エネで発電された電気を一定期間、固定価格で買い取ることを義務)により、再エネの買い取り費用は一部、再エネ賦課金として国民が負担されるためです。

日本の再生可能エネルギーコストが高い理由

日本のコスト面に焦点を合わせてみましょう。

コストの高い要因として、まず一つ目が地理的要因です。
例えば日本は平野部が少なく、地震・台風・津波が多く発電所の設置場所が限られています。また、日照時間は諸外国に比べて短く、風力は夏場に向けて著しく低下するなど安定性にかけます。

二つ目として物価や人件費の高さが挙げられます。太陽光パネルや風力発電機等の物価諸外国に比べて高く、日本人の人件費は高いとも言われてますが、人件費を削減するのは懸命とは言えます。

上記の様な要因から市場規模はなかなか大きくならず、諸外国よりも小さく高いと言われる要因となります。

世界の再生可能エネルギーコストの現状

日本の再生可能エネルギー市場は高いと言われる一方で、世界の再生可能エネルギーコストはどうでしょうか。

世界で再生可能エネルギー導入が加速し、年々低コスト化

諸外国では日本よりもカーボンニュートラルに向けての活動が早く活発的です。それに伴い再エネの導入率は加速しており、特に欧州では2015年には既に、既存の発電設備容量(ガス・石油・原子力)よりも自然エネルギーにより発電を上回っています。
また欧州に限らず、米国や中国といった発展国では環境投資などが活発的であり、今後も拡大するでしょう。

諸外国では事業者が入札しやすい環境が整っており、価格競争が発生する為に入札価格が下がりやすい傾向があります。また地理的条件も日本に比べて非常によく、低コストで実現が可能となり一層再エネが進んでいます。

再生可能エネルギー導入先進国の施策

カーボンニュートラルの先進国である欧州では、【風力発電】と【太陽光発電】に力をいれ、2020年には化石燃料により発電を上回る形で電力を賄いました。

また、風力発電については、特にデンマークが力を入れており発電量の60%を風力発電でしめました。
この数字は政府が積極的な取り組み・フォローを行うことによって、結果的に発電事業所側にとってリストの低下とコストの低下に繋がった成功例と言えます。

日本も現在は政府が主導となって取り組みを行っておりますが、最近では企業がリーダーシップをとり民と官が協力して動こうとうGXリーグという動きが見られます。

再生可能エネルギーのコストを減らすための日本の取り組み

再エネにコストがかかる日本は、世界の動向を注視しながらも日本独自のコスト削減の取り組みを行分ければなりません。

日本では2002年から再エネの普及に腰を入れはじめ、2002年にはRPS制度(再生可能エネルギー導入量割当制度)や、2009年には余剰電力買取制度※電力会社が太陽光発電の余剰電力を一定の価格で買い取る制度、また2012年には余剰電力買取制度が見直されるFIT法(固定価格買取制度)※再エネ電力を固定で一定期間買い取る制定され、再エネを促進されました。

さらに2022年には新たにFIP法※市場価格を踏まえてプレミアム額が交付される制度が導入され、事業所に対して投資インセンティブをすることで更に再エネを加速させる狙いがります。

→ FIT・FIP法をさらに詳しく 

今後の国内外の再生可能エネルギー導入の動きとコストの予測

日本の再生可能エネルギーの今後

日本の再生可能エネルギーもコストダウンの可能性

今後の再エネのコストについて資源エネルギー庁の発表によると、

2019年度:太陽光発電13.1円/kWh、風力発電11.1円/kWhと実績。
2030年度:太陽光発電5.8円/kWh、風力発電6.6円/kWhの見通しを立てています。

長期的に見れば今後再エネは大幅にコストダウンする可能性があります。これにより日本の再エネは高いというイメージの脱却を図ります。

資源エネルギー庁:「国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達価格等算定委員会の論点案」

日本企業の取り組み

日本政府・発電事業所では上記取り込み等を行っておりますが、企業・事業所はどのような取り込みを行っているのでしょうか。

今では多くの企業が「RE100」「SBT」等の世界的環境イニシアチブに参加するのが多いのではないでしょうか。また2023年に本格活動を目指す「GXリーグ」に参加することも一つの活動方法ではります。

このようなイニシアチブに参加することで企業として価値を高め、社会的評価を上げることでESG投資等を図ります。

世界の再生可能エネルギーの今後

太陽光発電と風力発電の導入が加速する見込み

JETRO 日本貿易振興機構(ジェトロ)による2021年8月レポートによると、今後国外では太陽光発電が伸び、次に風力発電が伸びると予想されています。理由は太陽光発電における設備投資コストが今後、火力発電と同等までの水準になる国があり、日本も同様の動きをすると予想されているためです。


一方で風力発電は陸上(オンショア)風力は中国や米国を中心に、洋上(オフショア)風力は欧州を中心に、設備容量を増えると予想され、中国ではすでに陸上風力が急拡大、北欧では洋上風力の大型プロジェクトが進んでいます。
日本でも国外の洋上風力大型プロジェクトに参加し経験を積み、2040年までには30~45GWの発電と野心的な導入目標を掲げています。

まとめ

現状日本における再生可能エネルギー発電は世界に比べてまだまだ高いと言えます。
様々な要因があるものの、国として一企業として現状を把握しておく必要があります。世界各国では再エネ向けての動きは大きく日本もその波に乗り遅れないよう動く必要があります。

とはいえ、ウクライナ情勢やLNG等の不足のより電力の普及すら困難であることも事実です。
その中でコストを抑えながらかつ長期的に再エネを見据える必要があります。

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参考資料
・資源エネルギー庁 https://sustainablejapan.jp/
・日本貿易振興機構(ジェトロ)https://www.meti.go.jp/policy/energy_environment/global_warming/GX-league/gx-league.html