ついに需要家も解禁!FIT非化石証書の購入について

2022.06.10
ESGカーボンニュートラル環境価値電力卸売市場電力業界制度非化石証書

世界的な脱炭素化への取り組みが加速する中、日本でも2050年カーボンニュートラル宣言を行い、電力分野においても、使用電力の脱炭素化が求められています。

このような流れに対応すべく、2021年11月から非化石価値取引の制度が見直されました。需要家がより再エネ価値にアクセスしやすいよう、制度が大きく変わっています。そこで今回は、非化石価値取引がどのように変わったのか。また、需要家は、どのようなアクションを起こせばよいのか。について、記事を書いていきます。

また、この記事の執筆者(非化石証書調達室長 高橋)も、JEPXへの会員登録から入札まで一通り、行いました。そのあたりの話もお伝えできれば幸いです。

(本コラムは、2022年6月10日にリライト(※2021年11月記事)をしています。)

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どのように制度が変わったのか

大きく変わったのは次の2点です。

  • 仲介事業者、需要家も購入できるようになった
  • 価格が見直された

仲介事業者、需要家も購入できるようになった背景

  • 小売電気事業者の再エネメニューの場合、直接再エネ価値にアクセスできないこと
  • Jクレジットやグリーン電力証書の場合、価格がどうしても高くなってしまうこと

このような課題もあり、これまでFIT非化石証書の約定の量(全体の量に対し、どれだけ購入されたか)は、全体の数パーセントだったと言われています。
経済産業省としても、再エネを加速させたい思いがあります。そのような背景もあり、幅広い選択ができるよう、仲介事業者の代理購入、需要家の直接購入が可能となりました。

価格が見直された

これまでFIT非化石証書の最低入札価格は、1.3円/kWh(税抜)でした。それが、今回から0.3円/kWh(税抜)に変更になりました。
元々、非化石証書は、Jクレジットやグリーン電力証書に比べると、価格は安かったのですが、今回さらに安くなったのです。これは、海外の再エネ価値の価格を参考にしている部分があります。ヨーロッパや北米では、再エネ価値の価格は、0.1~0.2円程度となっており、日本とは、1円近く開きがありました。
今回の価格の見直しによって、非化石証書の流通量がさらに増え、日本の再エネの動きが加速することが期待されています。今までと比べると、1円/kWh以上差があるので、コスト的には随分手を出しやすくなりますね。

直接購入をおすすめするケース

概要をお伝えしてきたところで、ここからは、需要家がどのような場面で、直接購入をするのがよいのか。という話をしていきます。
まず、小売電気事業者経由と直接購入の違いを下の図でご紹介します。

当然ながら、一長一短あります。このあたりを踏まえて、筆者が考える「このようなケースは、直接購入(仲介事業者経由)をおすすめする」という話をさせて頂きます。

  • 共同保有
  • 段階的な導入
  • 現電気契約が好条件
  • 電気の長期契約を結んでいる

共同保有

主にREIT様向けになります。REIT様の場合は、ビル等を複数の事業者で共同保有しているケースがあると思います。その場合は、1社だけの方針では電力契約を結ぶことができません。コスト重視の事業者もいれば、環境価値重視の事業者もいるためです。
小売電気事業者のメニューでは、再エネ比率を調整できる会社が少ないです。
したがって、このような場合に、自社保有割合分だけ、購入することができます。

段階的な導入

これも上記と似ていますが、REIT様以外にも当てはまります。「一気に全部は無理でも、30%だけ導入してみたい」そのような課題を解決することが可能です。

現電気契約が好条件

現契約が好条件の場合、再見積もりをお願いすると、値上がりになってしまう可能性があります。また、多くの小売電気事業者の場合、再見積もりを行うと、上書きされてしまうため、過去の条件に戻すことができなくなります。そのような場合、電力契約そのものは、触れずに好条件を維持し、別途非化石証書を購入するという方法が、極めて賢い方法だと思います。

電気の長期契約を結んでいる

中には、電気契約を3年や5年契約を結んでいる場合があると思います。そのような場合、電力会社を変更したり、契約内容を変更したりすると、違約金が発生することがあります。
このような場合でも、電気契約はそのままに、別途、非化石証書を購入するという方法が可能です。
何も制約がない場合は、小売電気事業者からの購入をおすすめしますが、上記のケースでは、直接購入をおすすめいたします。

 

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最後に

弊社も今回、仲介事業者として、JEPXの非化石価値取引会員に登録しました。

JEPXへの会員申込(必要書類が複数あります)、入会費・年会費の支払い、入札システムの登録、入札作業、約定した分の支払い等々。私も一通り経験しましたが、普段再エネの情報に触れていない方が初見で行うのは至難の業です。

弊社では、電力オークションによる小売電気事業者による再エネメニューの調達、非化石証書購入代行(代理購入)、どちらも対応することが可能です。仲介事業者、需要家購入が解禁になった初回から取引に参加していることや、普段から再エネのコンサルティングを行っている強みを活かし、お客様の再エネ導入、電力におけるCO2排出量削減をお手伝いさせて頂きます。

ぜひ、お気軽にお問い合わせください。

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コラム参考資料
2021年度第1回再エネ価値取引市場のオークション及びトラッキング実証の開始について 資源エネルギー庁 (meti.go.jp)