次世代再生可能エネルギー「地熱発電」について
2020年10月、菅首相より「2050年カーボンニュートラル宣言」の所信表明があり
脱炭素社会の実現に向けてあらゆる発電方法がおこなわれております。
2021年6月2日提出された「カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、
次世代再生可能エネルギーとして「洋上風力、太陽光、地熱」と記載されており、
この資料のからも日本がより再エネに注力していくという意図が読み取れます。
今回は、この次世代再生可能エネルギーとして期待されている中の1つである
「地熱発電」について考えていきます。
地熱発電とは?地熱発電の仕組みと歴史
「カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」に記載されている次世代再生可能エネルギーの3つの中で太陽光発電は、一般家庭でも導入可能な点から身近であったり、洋上風力発電は、ヨーロッパ諸国の風車の風景などから想像できたりと、比較的ご存じの方も多いかとは思いますが、地熱発電についてご存じの方は少ないのではないでしょうか。
地熱発電は火山帯の地下に溜まった天然の蒸気を井戸を使って地上に取り出し、その蒸気を使って電気を作ります。
蒸気の力で発電機を回して電気を作るしくみは火力発電と同じですが、
石炭、石油、LNGなどの化石燃料を燃焼させた熱で蒸気を発生させる火力発電と違い、
地熱発電では地球内部のマグマの熱によってつくられた天然の蒸気を利用して発電します。
そのため、CO2排出量がきわめて少ないクリーンなエネルギーです。
日本は火山帯に位置するため、この地熱の利用は戦後早くから注目されており、
本格的な地熱発電所は1966年に岩手県八幡平市にある「松川地熱発電所」が初めて運転を開始し、現在では東北や九州を中心に展開しています。
現時点での総発電電力量はまだまだ少ないものの、安定して発電ができる純国産エネルギーとして注目されています。
地熱発電のメリット/デメリット
地熱資源を使って発電する地熱発電には、多くのメリットがあります。
日本は環太平洋造山帯に位置しており、世界で3番目に多くの地熱資源を有しています。
要するに、発電に必要な地熱資源が豊富だということです。
地熱は純国産の再生可能エネルギーであることから、安定した発電が可能となり、
地下の地熱エネルギーを使うため、化石燃料のように枯渇する心配がなく、
長期にわたって供給できるという利点もあります。
さらに、太陽光発電や風力発電は天候や日照時間、昼夜などの影響により、発電力が左右されますが、
地熱発電の場合、これらの影響を受けることなく24時間安定した発電が可能という点も大きなメリットとなってきます。
一見多くのメリットを持っている地熱発電ですが、普及があまり進んでいません。
資源エネルギー庁の公表する電力調査統計などをもとに、環境エネルギー政策研究所が作成した資料によると、
2019年度における日本全体の電源構成は以下のようになっています。
現時点では再生可能エネルギーの中でも地熱発電が占める割合は非常に小さく
2019年時点でわずか0.2%にとどまっています。
このように普及が遅れている理由は大きく以下の2点となります。
①事前調査にかかるコスト
地熱発電では、発電設備の導入をするためには、地下1000m~3000mという深さまで掘削する必要があります。それに加え、その土地が地熱発電に向いているかどうかを調査しなければならず多くのコストと時間がかかることが大きな原因となっています。
②立地特性によるハードル
地熱資源のある場所の多くが、開発に制限のある国立公園や温泉地であることが多く、
国立公園の場合、自然保護区域に発電所を建てることになり、自然破壊の懸念や、景観を損ねるといった問題が発生します。
温泉地の場合でも、地域産業に影響が出る場合があり、地元関係者との調整や、地域住民への説明、合意が必要になるケースが多く、開発に適した場所であるにもかかわらず、導入拡大が積極的に進まない要因となっているような状況です。
地熱発電は2030年の電源構成の1~1.1%(3倍化)を目標とされており、
これらの課題を踏まえながら今後さらなる開発への検討が必要となってくるのではないでしょうか。
まとめ
地熱発電は、電力供給の安定性や効率性、また環境にやさしいことなどから、将来のエネルギー社会の軸になるだろうと期待されている発電方法です。
しかし、現在ではまだ課題が残っており、地熱発電の更なる開発や理解が必要です。
地熱資源に恵まれている日本にとっては地熱発電が普及すれば、日本のエネルギー自給率は上がり、CO2の排出量も減らすことができるため、明るい将来が待っていることでしょう。
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まずはお気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。
参考資料
わが国の地熱発電-現状と課題 2018年10月24日 日本地熱協会
再生可能エネルギーの歴史と未来 2018年02月1日 資源エネルギー庁スペシャルコンテンツ