建築物省エネルギー性能表示制度、BELS(ベルス)について
はじめに
日本国内の建築物分野で消費されるエネルギーは、全体の1/3を占めており、他分野と比較して増加しています。この現状により、住宅・建築物において更なる省エネルギー化や脱炭素化に向けた取組の一層の充実。中期的には2030年、長期的には2050年を見据えて、脱炭素社会の実現に向けた住宅・建築物におけるハード・ソフト両面の強化が不可欠となっています。
今回ご紹介いたしますBELS(ベルス)は、こういった流れの中で2014年4月より、建築物省エネ法第7条に基づく建築物の省エネ性能表示のガイドラインにおける第三者認証の1つとして運用が開始されました。
BELS(ベルス)について
BELS[ベルス]とは Building-Housing Energy-efficiency Labeling System(建築物省エネルギー性能表示制度)の略称で、新築・既存の建築物において、省エネ性能を第三者評価機関が評価し認定する制度です。
住宅性能評価・表示協会が制度運営しており、BELS実施機関として登録した評価機関が省エネルギー性能を評価し、5段階の星マークで表示しています。これにより建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律に基づいた同じ計算方法で一次エネルギー消費量を算定、消費者にとって建物の「燃費」を横並びに比較できるようになりました
この制度は新築・既存を問わず、省エネルギー性能を評価・表示する制度となっており、建築物省エネ法に準じた評価手法となっているため、省エネ法に基づく届け出書類を活用した申請が可能となっています。
また、評価結果を活用して企業が省エネルギーを通じた社会貢献へのアピールやテナントビルの営業ツールにしたり、住宅購入者に対しては住まい選びの目安になるなど、さまざまな場面での利用を想定した評価で、結果を評価書として交付するだけではなく、申請者の希望に応じてシール又はプレートなどにより建物に表示することも可能になっています。
最近では、不動産会社・ファンドの環境・社会・ガバナンス(ESG)配慮を測る年次のベンチマークである「GRESB」ツールにて、BELS取得が加点の評価項目となっており、注目されています。
BELS で評価される性能
BEIに応じた「★マーク」
建物の省エネ性能を表示するのが「★」の数です。BEI値によって5段階で表示されます。BEIは「基準一次エネルギー消費量」に対する「設計一次エネルギー消費量」の割合のことで、BEIの値が小さいほど省エネルギーです。
※一次エネルギーとは、火力・水力・太陽光など、自然から得られるエネルギーのことを指します(一次エネルギーを変換・加工し、都市ガスや電気などの利用しやすい形にしたものが二次エネルギーです)。
・基準からの削減率
削減率=(1-BEI)×100で計算されます。
・設計一次エネルギー消費量
設計・基準一次エネルギー消費量を表示 ※家電等その他エネルギー消費量は含まれません。
・建築物エネルギー消費性能基準(省エネ基準)への適合可否
一次エネルギー消費量、外皮性能の「建築物エネルギー消費性能基準(以下「省エネ基準」)」への適合の可否を記載してあります。
・UA値またはηAC値
外皮基準においては、住戸部分のUA値またはηAC値を記載することが可能です。
・ZEH、Nearly ZEH、ゼロエネ相当マーク
「ZEHマーク」+「ゼロエネ相当の表示」の住宅が『ZEH住宅』、「ZEH」マークのみ表示の住宅が『Nearly ZEH住宅』と認定されます。
BELSのメリット
BELS認定を受けるメリットは、主に5つが挙げられます。
1.補助金の活用が可能
BELS認定を受けた住宅を建てると、ZEH支援事業による補助金が受けられます。
自治体によっては、省エネ住宅に対する独自の補助金制度が設けられているところもあります。
また、2021年10月31日までは、グリーン住宅ポイントが「一定の省エネ性能を有する住宅」として、基本ポイントが30万ポイント分もらえます。
補助金制度をうまく取り入れる事で、太陽光発電等の自家消費型発電システムの導入がしやすくなります。
2.ランニングコストの削減
BELS認定を受けている住宅は省エネ性能も高く、BELS認定を受けていない住宅と比べると、電気代の節約になります。
初期投資をして性能に優れた住宅を建てて日常で使う電気代が節約でれば、結果的に電力コストを削減することにもつながります。
3.BELS認定は安心感を得られる
住宅性能に特化した家づくりをアピールしていても、購入する側に伝わりにくい場合もありますが、BELS認定を受けることで、国が定めた基準に対する評価となるため、判断基準が統一されて比較検討しやすくなります。
4.BELS認定表示は建築知識がなくても分かりやすい
BELSの評価は、5段階評価(星5つが最高評価)で省エネ性能の高さが一目瞭然です。
建築知識が詳しくない方でも、シンプルで分かりやすく、物件の選びやすさに繋がっているといえます。
5.BELS認定を受けると物件の価値が上がる
住宅に対しての省エネ性能の評価がわかり、物件そのものの価値もアップします。
実際にホールエナジーでも環境に配慮することで物件価値を高めることを意識した電力調達についてのご相談が年々増えています。
まとめ
法的義務のある制度ではありませんが、近年BELS評価の需要は高まっており、建築の省エネ性能を向上させることは当たり前になってきています。
省エネと再エネ、創エネを組み合わせてバランスよく行う事が、これからのテーマなのではないでしょうか?
ホールエナジーでは、電力コスト削減のご提案だけではなく、再生可能エネルギーの調達にも対応いたしております。
お客様の状況に合わせて取り組み方法も異なると思いますので、
まずはお気軽にご相談ください。
参考資料
住宅・ビル等の省エネ性能の表示について 国土交通省
建築物の省エネ性能表示のガイドラインについて 国土交通省