再生可能エネルギー発電とエネルギーミックスの考え方について

2021.05.24
SDGsカーボンニュートラル再生可能エネルギー用語解説

はじめに

 

現在、日本政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を掲げて、自然エネルギーの拡大に動いております。

もちろん、企業や自治体にとって、自然エネルギーの電力を活用することは環境面の貢献だけにとどまらず、持続性のある事業活動や地域経済の活性化に向けても重要な役割を果たしています。

そして今日の発電システムは様々な発電方法が混在しており、
太陽発電、水力発電やバイオマス発電などカーボンニュートラル達成に向けて、各所に施設が建設されています。

今回は、改めて再生可能エネルギーの発電の特徴やエネルギーミックスについて考えていこうと思います。

再生可能エネルギーの発電方法

【再生可能エネルギーのメリット】

  1. エネルギー源が枯渇しない。
  2. 二酸化炭素や放射性廃棄物を排出しない
  3. 燃料が不要である。(バイオエネルギーを除いて)
  4. 長期間の発電コストを予測できる。
  5. 地域の資源を利用して小規模でも発電できる。

もちろん、再生可能エネルギ―活用はESG投資の面などビジネス的なメリットとしても多肢にわたります。

また、再生可能エネルギーを利用する発電設備は地域ごとに分散して稼働するため、特定の場所で大規模な災害が発生した場合でも、電力の供給を維持できる利点があります。

具体的にどのような発電方法があるのでしょうか。
その特徴も簡単にまとめさせていただきます。

【太陽光発電】

・発電機を使わないために騒音や振動が発生しない。

・日中にしか発電できない。

・天候によって、発電量が変動する。

【風力発電】

・一定以上の風速の時発電できる。

・風車を大きくすれば発電量が増える。

・天候によって発電量が変動する。

【水力発電】

・水量を調整して発電量を制御できる。

・ダムを造成すると環境負荷が大きい。

・既存の水流を利用する方式は、環境負荷が小さい。

【地熱発電】

・天候の影響を受けにくい。

・発電後の温水を二次利用できる。

・地価を掘削すると環境破壊につながる。

【バイオエネルギー】

・生物由来の燃料は生育時にCO2を吸収するため燃焼時に排出するCO2を相殺するとみなせる。

・発電に伴う排熱を二次利用できる。

・燃料の種類や使用量により環境破壊につながるおそれがある。

 

このように再生可能エネルギーの発電は、様々な種類が存在しており、 導入する地域や環境によってそれぞれ適切なものが活用されています。

電力コストの低い発電方法

上記、世界平均の発電コストのデータとなっております。

世界各地に自然エネルギーの発電設備が広がり、原子力や火力に比べて、安く電力を作れるようになっています。日本でも太陽光の発電コストが年々低下して、自己託送やコーポレートPPAなどの取り組みも活発になってきています。

欧州では、カーボンプライシング(炭素価格付け)の制度が拡大しており、火力発電に伴うコストを押し上げています。中でもCO2排出量の多い石炭火力の発電コストは上昇傾向にあります。カーボンプライシングが導入されていない日本も例外ではなく、今後さらに高くなっていくといえるのではないでしょうか。

また、東日本大震災による原子力発電の稼働率は低下しており、再稼働に向けての安全対策など今後ますますコストが増えていくと予想させています。

地震や台風が数多く発生する日本においては、大規模な火力発電所や原子力発電所が特定の地域で集中する電力供給体制は、不安が残るものであり、そういった危険性のない発電所の導入は急務といえます。

エネルギーミックスによる相互補完とは

日本では、東日本大震災後、福島県の原子力発電所で事故が起こっています。
それより以前は、火力発電で約65%、水力発電や再生可能エネルギーの発電で約10%、原子力発電で約25%の電気を作っていましたが、ご存じの通り、事故の後、全国の原子力発電所は安全対策を強化するために運転を停止しました。

そのため、原子力発電で作られた分の電気を火力発電で作る必要があり、一時は火力発電が約89%にもなりました。

原子力発電はその後、国が定めた安全基準に合格した者から運転を再開している状況です。

現状の火力発電のように一つの方法に偏った発電は、非常に不安定で外的要因の影響を受けやすくなっています。

こうした状況において、エネルギー資源の少ない日本が安心して電気のある生活をするためには、安全に電気を作る事を大前提に3つのことを考える必要があります。

「3E+S」(スリー・イー・プラス・エス)

 

①安定して電気をつくること(Energy Security)

海外からの輸入に頼らず、日本国内のエネルギー資源を使う割合を増やす。

②電気代を安くすること(Economic Efficiency)

電気料金を今よりもっと安く

③環境に優しいこと(Environment)

地球温暖化の原因といわれる二酸化炭素などのガス(温室効果ガス)の排出を減らす

 

また、この「3E+S」の考え方に基づいて、何か一つのエネルギーに頼るのではなく、様々なエネルギーをバランスよく使っていくことを「エネルギーミックス」といいます。

火力発電の多い日本において、その燃料となる石油や石炭、天然ガスは外国からの輸入に頼っており、輸入が止まってしまうと安定して電気を供給できない状況に見舞われてしまいます。

今年の1月の天然ガスの不足による電気料金高騰のニュースなどは記憶に新しいのではないでしょうか。※1

もちろん、天候の影響を受けやすい太陽光発電や風力発電に頼り切ることも危険であり、エネルギーミックスにより、それぞれの発電方法がお互いをバランスよく補完することで安定性が保てるようになります。

エネルギーミックスの考え方は、不測の事態による発電への打撃を最小限に抑えるための手段といえるでしょう。そのためにも火力発電の偏りからの脱却、太陽光発電などの普及がいち早く行われることが重要といえます。

まとめ

今回は、エネルギーミックスについて考えてみました。

リスクを分散させる上でも、非常に効果的な運用方法だといえます。

また、法人様の電力の調達も同じように考えて頂ければ幸いです。

現状、市場からの影響を受けにくくするために、小売りからの電力調達(非化石証書やJクレジット等を組み合わせた、電力会社のプランなど)や太陽光発電(自己託送やコーポレートPPAなど)を組み合わせてお考えになる方も多くいらっしゃいます。

弊社、ホールエナジーでは、こういった小売りからの電力調達、太陽光発電の導入などにも柔軟にご対応することが可能です。もちろん、お客様の状況に合わせて取り組みの方法も多種多様ではございますので、まずはお気軽にお問い合わせ頂ければ幸いです。

 

参考資料

※1:LNG不足のなぜ 生産・物流混乱が壁 電力需給逼迫で 2021年1月13日 日経産業新聞