2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーを学ぶ。

2021.04.25
ESGカーボンニュートラル再エネ調達再生可能エネルギー

はじめに

 

前回のブログでもご紹介しましたが、カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにすることです。

そこで注目を集めているのが、再生可能エネルギー。太陽光・風力・地熱・水力・バイオマスといった再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることから、エネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で、重要な低炭素の国産エネルギー源と言われています。
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早速ですが、今回は大きく3つのテーマでお話させていただきます。

①日本のエネルギーの歴史

②最近の日本の再生可能エネルギー事情

③どうやって再生可能エネルギーを調達するのか

この記事を読み終わる頃に、皆様が少しでも再生可能エネルギーに興味を持っていただけますと幸いです。

日本のエネルギーの歴史

日本はエネルギー自給率が低い国です。2018年の日本のエネルギー自給率は、11.8%となっており、OECD諸国と比べてもかなり低い水準となっています(35か国中34位) では、どうやってエネルギーを賄ってきたのかというと、海外からの輸入に大きく依存していたんです。特に東日本大震災以降、化石燃料への依存度が高まり、2018年度はなんと85.5%となっています。長年、火力発電を中心としてきました。
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なぜ日本の再生可能エネルギーの普及は遅れているのか

では、なぜエネルギー自給率が低いにも関わらず、日本で再エネが普及しなかったのか。その理由は発電コストにあると言われています。

太陽光発電の発電量を左右する「日照」、あるいは風力発電の発電量を左右する「風況」は、国によって事情が違います。また、平野部が少ないといった日本ならではの地理的な問題があります。こうしたことが、日本における再エネ発電コストの低減を難しくする原因のひとつとなってきました。

また、欧米と比べても、国際的に取引されている太陽光パネルや風力発電機は、日本では約1.5倍と高く、それを設置する工事費も約1.5~2倍と言われていたこともあります。このコストアップの背景には、地震や台風といった避けられない地理的な要因があったのです。
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加えて、再エネ発電の量が増え、送電網に接続する電源が増えてくれば、送電網への影響も考慮する必要があります。

どういうことかと言うと、電力は基本的に貯めることが出来ず、電力の需要と供給は、同じ量でないといけません。量が一致していないと電気の品質(周波数)が乱れてしまい、電気の供給を正常に行うことができなくなってしまうのです。その結果、安全装置の発動によって発電所が停止してしまい、場合によっては予測不能な大規模停電をまねく可能性があります。

それにも関わらず、日本は島国であることから、万が一送電網に異常が発生した場合、隣国に頼ることができません。そのようなリスクを抱えているのも日本の特徴です。
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一方、その間世界では、技術開発が進み、発電コストの低減が実現できているのもまた事実です。そのような流れが結果として、再エネ導入拡大に繋がるという好循環を生んできました。

ちなみに、2016年のアラブ首長国連邦では、太陽光で発電した電気が3円/kWhで販売された実績もあります。(日本の家庭用電気だと1kWhあたり20~30円前後)

つまり、再生可能エネルギーが必ずしもコストが高いわけでもないのです。地理的な問題はあるものの、流通構造や取引慣行などが非効率という声もあり、日本にも改善できる余地がまだまだ残されています。

最近の日本の再生可能エネルギー事情

最近の日本の再エネ事情は、どうなっているのでしょうか。2019年現在、日本の再エネの電力比率は約18%で、主要国の中ではそれほど高い比率ではありません。(ドイツやスペイン等のヨーロッパの国だと30%以上、カナダに関しては60%以上が再エネによる発電) ただし、再エネの発電設備容量は世界第6位となっており、太陽光発電の導入量では世界第3位となります。
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こう聞くと、再生可能エネルギーだけで、電力を賄えそうな気もしますね。ですが、実際はそう簡単にはいきません。その理由は、再生可能エネルギーは季節や天候によって発電量が変動するからです。

したがって、安定して大量に発電することができる火力発電などと組み合わせる歴史があるのです。ですが、いつまでも火力発電に頼り続けるわけにはいきません。少しずつ火力発電の割合を減らし、カーボンニュートラルの実現に向けて、取り組みを強化する必要があります。

 

再生可能エネルギーの一例を紹介

最近では、安定して発電ができる再エネとしてバイオマス発電が注目されています。
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バイオマスとは、木材や植物残さ等の再生可能な生物資源のことです。バイオマス発電では、この生物資源を「直接燃焼」したり「ガス化」するなどして発電します。

天候の影響を大きく受け、一定の発電量を維持するのが困難な太陽光発電や風力発電とは異なり、生物資源を燃料とするバイオマス発電は、調達方法さえ確立していれば、安定的に一定量の発電が可能です。

ただ、ここで気になるのは、資源を燃焼するなら二酸化炭素が排出されるのでは?ということ。実はこれ、CO2の排出量が実質0という考え方です。燃料するときにはCO2を排出するものの、生きているうちにCO2を吸収してくれているので、トータルでは±0なんです。

余談ですが、菅総理がカーボンニュートラルについて話すとき「排出を全体としてゼロにする」という言い方をしますね。これも排出量から吸収量を差し引いた、合計がゼロとなる(ネットゼロ、実質ゼロと同じ)という意味です。

つまり、排出した温室効果ガスは、それと同じ分だけ吸収して±0にすれば、温室効果ガスは増えていないと捉えられるのです。

どうやって再生可能エネルギーを調達するのか

消費者が再生可能エネルギーの調達する方法は、大きく二つあります。

①電力会社の再エネプランに加入する

②自社(自分)で発電する

今回は、弊社電力オークションで調達可能な①をご紹介します。

 

①は電力会社の再エネプランを選ぶことを指します(再エネプランを取り扱っていない電力会社もございます)

何も指定をしなければ、普段私たちが使っている電力は、原子力、火力、太陽光(FIT)等で発電されたものがミックスされています。これだと環境に貢献しているとは言えませんね。

そこで、電力会社に対し、「再エネを使っている電力を使いたい」と希望を伝えることで、再エネの価値を持った電力プランに変更できます。

ここで知って頂きたいポイントは、再エネ調達は、すごく難しいわけではないということです。まずは電力会社に対し、意思表示をすることから始まります。同じ電力を使うなら環境に優しい電力がいいですよね。

そうやって環境メニューを選ぶ会社(人)が増えれば、さらに技術開発が進み、コストが下がり、日本全体の導入が増えるという好循環が生まれるのです。

とは言っても、再エネについては、やはり難しいというイメージがありますよね。

 

例えば電力会社選び。

・発電設備を持っているのか、それとも、全て電力市場(JPEX)から調達しているのか

・親会社はどこなのか

・これまでの販売実績はどれぐらいあるのか

 

電力会社を選んだ後も、プランはどれにすればよいのか。契約変更の手続きはどのように行えばよいのか。なかなか踏み切れないという方もいらっしゃると思います。

弊社ホールエナジーでは、コスト削減を実現するための電力オークションはもちろん、再エネ導入の実現に向けて、お客様に最適な電力会社のご提案から、契約切替手続きのサポートまで、お手伝いさせて頂きます。

ぜひ、お気軽にお問い合わせください。誠心誠意対応させて頂きます。

 

参考資料

※1:なっとく!再生可能エネルギー 資源エネルギー庁

※2:日本のエネルギー2020 資源エネルギー庁

※3:資源エネルギー庁がお答えします!~再エネについてよくある3つの質問 資源エネルギー庁

※4:再エネのコストを考える 資源エネルギー庁

※5:電気の安定供給のキーワード「電力需給バランス」とは?ゲームで体験してみよう 資源エネルギー庁

※6:日本のエネルギー2020 資源エネルギー庁

※7:バイオマス発電 資源エネルギー庁